四十幕
温泉から帰って、一週間程経過したある日、一誠が唐突にとんでもない事をを言い出した。
「あ、今日は第一部隊と合同訓練するから、合同訓練所に集合ね?」
「唐突ですね、急に決まったんですか?」
「そうだね、上からある命令が降りたんだよ」
「その命令が訓練って事ですか?」
「正確には違うけどね、大天狗の討伐は第一部隊と行う事となった為、それぞれの事を知る為の合同訓練だよ」
大天狗の戦力が増えるのは良い事だと暁良は素直に喜んだが一誠は浮かない顔をしている。
「何か問題でもあるんですか?」
「問題と言うか第一部隊は癖が強い人しかいなくてね、特に十二聖次期筆頭候補と言われる渡辺津名がまた癖が強いんだよ……」
その言葉に誰よりも反応する者がいた、それは姫乃である。
「渡辺ってもしかして、私の腕を切った?」
「えぇ子孫です、その渡辺が第一部隊の指導隊長で、年齢も若く将来有望過ぎるのですが……まぁ、会えばわかります」
「そう、綱の子孫なら十二聖筆頭候補と言われるのも納得だわ……」
(十八で次期十二聖とか、天才ってホントいるんだな)
そんな事を考えながら合同訓練所に向かった。
「こんにちは、お久しぶりですね!次期筆頭候補の茨城姫乃さん!あっ、鏑木さんもあの時はありがとうございます!」
「あ、あぁ気にしないでくれ」
挨拶してきたのは以前、大討伐の時に未知瑠に変な質問をしてきた女だ。
未知瑠が何故この娘がここに?と困惑していた。
「そして申し遅れました、私の名前は渡辺津名、十二聖次期筆頭候補にして第一部隊指導隊長を勤めております、以後お見知り置きを!」
「成る程、あの時の馬鹿な質問をしてた娘が本当の次期筆頭候補だったのね……」
姫乃は得心がいった。
「馬鹿な質問とか酷いですね、あの場には無知な新人さん達がいたから、皆さんの知識を試しつつ指導したんですよ?私、こうみえても指導隊長なので!」
「所で、貴方は花菱さんのペアなのでは無かったかしら?」
「そんなの、後でちゃんとした新人送りましたよ」
「津名君、そろそろ合同訓練の準備をしましょう」
「はーい」
其々のチーム各員を紹介が始まり滞りなく終わった、色々気になったのは。
「俺の名前は
この男は金時の子孫であろう、そして。
「俺の名前は
こちらも季武の子孫だろう。
「あら〜、私の名前は碓井有紗と言います、知ってる人も結構見かけますが、宜しくお願いします〜、あっ、武器は大鎌です〜」
極め付けはこの人、いつの間に魔強導隊に入ったのだろうか?と言う疑問に気づいた碓井は「あの大討伐の後にしつこく勧誘されて〜」と教えてくれた。
いったい、第一部隊は頼光四天王を集めて何がしたいのだろうか?暁良の疑問は尽きない。
そして自己紹介が終わり、と言うよりも第一部隊は今の四人だけで構成されているらしい。
そして戦闘訓練が開始されたが、頼光四天王の強さはかなりの物だった、暁良達も強くなったが全く勝ちの筋が見えない。
唯一戦えていたのが、姫乃と一誠のみだ。
姫乃と津名が戦いながらボソボソと会話していたのが暁良は少し気になったが、合同訓練はとても勉強になった。
合同訓練が終わり、第三部隊は自分達の部屋に戻って反省会を行った。
「今日、君達は十二聖候補と戦ってみてどうだった?」
その問いかけに暁良は答えた。
「以前、碓井有紗とは大討伐で何度か組んだ事があります、その時でも勝てる道が見えなかったのですが、今回は更に見えませんでした」
「彼女も君達と同時期に第一部隊に加入してるね、第一部隊のメンバー同士で常に模擬戦をしているんだと思うよ」
「模擬戦だけであそこまで強くなれるんでしょうか?」
「まぁ、かなり難しいとは思うけど、実際に彼女達は、あれ程の実力を示したんだ、疑う訳にはいかないよ」
一誠の言葉に暁良は「そうですよね」と言って終わる。
その後も反省点や意見が各々から出てくるが姫乃は訓練以降、終始無言だった。
今日やる事が終わる。
暁良は姫乃の様子がおかしいのに気づいてた為、悩み相談でも受けてやるかと思って一緒に帰る事にした。
「…………」
「…………」
お互い無言のまま歩く。
暫く歩いてると姫乃が口を開いた。
「ねぇ?」
「なんだ?」
「貴方は誰?」
暁良はその言葉の意味がわからなかった。
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