三十九幕
暁良は肌鬼が最後に言った言葉を気にしていた。
(酒呑童子を起こしたい奴……まさか、四天王以外にいるのか?しかも人間に……)
肌鬼が言った言葉に姫乃は「やっぱりそうだったのね……」と呟いていたのを暁良は聞いていた。
「ご苦労様です、お見事でした」
一誠は四人に労いの言葉をかけた。
「ありがとうございます隊長達との訓練のお陰です」
暁良は素直にお礼を言った。
「大した事はしてません、これは皆さんの努力の賜物です」
「これで四天王は全て居なくなったのか……だが、次はいよいよって事ですよね?」
「えぇ、次は間違いなく大天狗との戦いになります」
一誠の言葉に各々が黙り込んでしまう。
あの姫乃ですら黙り込む程の強敵と暁良も思わず沈黙してしまった。
「さて、本日の討伐も終わりましたし、ここは箱根です、一泊して温泉でも入ってから帰りましょう」
全員がその言葉にテンションを上げて喜んだ。
温泉宿に到着すると、全員が荷物を部屋に置いて、早速温泉に向かった。
「ねぇねぇ、暁良君」
千歌が話しかけてきた。
「ん、何だ女湯はあっちだぞ?」
「違うよ!混浴一緒に入らない?」
「そう言う事はちゃんと段階を踏め!」
暁良はそう言うとシッシッと手で追い払った。
「暁良さん!暁良さん!」
「何だ今度は夏希か?何の様だ!」
「へへん!一緒に混浴行きませんか!?夏希ちゃんダイナマイトバディが拝めるチャンスですよ!」
「前も言ったが、そう言うのは育つ所育ってから言え」
夏希にチョップをして追い返す暁良。
「暁良ぁ〜!」
「今度は姫乃か?何だ混浴のお誘いか?」
「えっ?何言ってるの?まままだそこまで関係行ってないでしょ!」
「んじゃ、何だよ?」
「うん、温泉上がったら枕投げのお誘いに来たのよ?」
「何でそんな幼稚な事を……」
「えぇ……、私やった事ないからやりたいなって思って……、ダメ、かな?」
上目遣いで言われる。
「はぁ、お前のその顔苦手だわ!わかったよやってやる!だが後悔するなよ!枕投げの帝王と言われたこの、暁良簡単に討ち取れると思うなよ?」
「あはは〜それじゃまた後でね!」
「うぃ〜」
少し歩くとまた暁良を呼び止める声がした。
「暁良、今いいか?」
「お前たちは俺に温泉を楽しませないつもりか?」
「何で不機嫌なんだ?」
「悪い俺のハートはもう温泉に浸かっていて、肉体が置いてきぼりだったからついな……それで何だ?」
「あぁ、今日の肌鬼との連携なんだが……」
「真面目かよ!」
その後少し連携の話しをしてから、やっと温泉に入れた。
温泉には一誠以外の男陣が浸かっていた。
「何だ、源やっと来たのかトイレでも混んでたのか?」
悠太が聞いてくる。
「いや、女性陣に捕まってた」
ピクッと悠太が反応する。
「いつも思うんだけど、お前かなりモテてない?正直顔だけなら俺や大河のが良いだろ?」
「お前本当の事だとは言え、顔の事俺に言っちゃう?」
「まぁ、いいや」
「良くないからね!」
「んで、本命は誰なんだよ?鏑木か?それとま早瀬か?それとも、昔と変わらず千歌か?まさかの姫乃?」
悠太は興味津々でグイグイときた。
「ん〜、夏希は妹として見てるし未知瑠は親友?的な感じだし、千歌はそもそも好きって時の記憶が薄い」
「それじゃ、姫乃か?」
「今のメンバーの中で異性って見てるのは姫乃位だな、まぁこの先どんな出会いがあるかわからんしどうなるかも分からんがな」
ふ〜んと言いながら悠太は仕切りで区切られている女湯の方をみた。
その仕切りの向こうでは、姫乃が温泉でのぼせたのかわからないが、顔を赤くさせていた。
温泉から上がり、全員が枕投げをする為に男性陣の部屋に集まっていた。
姫乃もやってきたがやたらと顔が赤い。
「姫乃、大丈夫か?顔が赤いぞ、無理はすんなよ?」
「う、うん大丈夫〜」
「大丈夫なら良いんだが、何かあったら直ぐに言えよ?」
部屋に一誠も現れた、レフェリースタイルでやる気しか感じられない。
「それでは今宵、百鬼夜行による枕投げ大会を始める、私がレフェリーを勤める来栖一誠だ!男性陣より女性陣の方が少ないが、まぁ男性陣に対してのハンデと言う事で気にしないで頂く」
気にしろよ!と暁良は思ったが一誠が楽しそうだから突っ込むのをやめた。
「各員準備は良いですか?……良さそうですね!それでは百鬼夜行第一回枕投げ大会!レディーファイト!!!」
開始の合図と共にドォーンの音と共に大河が空を舞い撃沈した。
「はやっ!ってか枕投げでなる音じゃないだろ!」
「次は暁良君だよ……」
「そうですね!暁良さんですね……」
「あぁ、暁良だ……」
姫乃以外の目が怖いと、暁良は怯えた。
「大丈夫!痛いのは最初だけでっへぶっ!」
夏希が悠太の一撃でドォーーンと空を舞った。
(だから、音がおかしい……)
「悠太邪魔!」
「上等だよ千歌!」
(あ、鈴村と小室も飛んだ、やるな未知瑠)
「「ハァァァァァァァ!!!」」
(千歌と悠太に至っては枕投げしてないしな!)
「暁良ーーー!」
「うわ、未知瑠話せばわかる!」
「未知瑠うるさい」
姫乃の枕が未知瑠に当たり空を待った、未知瑠は「なんでぇ!」と言って消えていった、全くもって未知瑠の言う通りである。
「まぁ、勝負するか?」
「えぇ、遊びましょ?」
暁良は出会って殺し合いした時の事を思い出し、あの時もこんな事言ってたなと思って笑っていた。
その後、姫乃に暁良がやられ、悠太は千歌に涙を流しながら詫びていた。
女性陣の勝利である。
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