三十七幕
この日もやる事は訓練だ、最近妖怪と戦ってない暁良は心配になって、一誠に戦いに出なくていいのか?と聞いたら狩れる物が狩ればいい、ベテラン達でも勝てない奴らが出てきたら、その時に上から命令が来ると言われた。
今日の暁良の最初の対戦相手は千歌である。
「暁良君、今日は宜しくね」
嬉しそうに言われると、悪い気はしない暁良は頭を軽く掻きながら「よろしく」と返した。
そして開始の合図と同時に千歌と距離を詰めて刀を打ち付ける。
しかし。
その一撃は千歌の身長と同じくらいある大きな鋏で防がれ、鍔迫り合い状態になっている。
「その武器見た目物騒だなっ!」
「そう?」
そんな会話をしているが、千歌は余裕そうに押し返してくる。
(こいつ、この小さい身体でなんちゅ〜馬鹿力だよ全然腕力で勝てる気しねぇ)
その後、右手を取られてから何度も投げられ、あっさりと敗北した暁良。
それを見てたのか、悠太がやってきた。
「災難だったな、あいつに捕まったら力技で叩き潰されるぞ」
「この身で理解する程味わったさ」
「そうか、まぁ次は拓が相手だけど、源なら大丈夫だろ」
何が言いたいのかわからない暁良。
「拓は完全に技巧派だが、お前も技巧的な技使ってたしいい勝負すると思うぜ」
そう言って去ってった。
「アイツはちょいちょいアドバイスしてくるな、結構面倒見いいのか?」
その後、拓と戦う為に合流した。
「それじゃ鈴村、宜しく頼む」
「はい、お願いします」
開始の合図と同時に刀を打ち付けると、鉄扇で円を描く様に受けられると暁良が体勢を崩した。
「あぶなっ!」
崩れた所に鉄扇が頭に振り下ろされた、が何とか回避した暁良。
「五月雨一閃!」
「くっ……!」
五月雨一閃を受け流そうとしているが、全てを受け流す事が出来ず被弾した拓はそのままダメージを引き摺り暁良が勝った。
「鈴村は受け流すの上手いけど、ちょっと受け身過ぎないか?もっと攻めればいいと思うぞ?」
暁良があっさりと終わった戦闘の感想を言う。
「ハハッ、わかってるんですけどね身体が上手い事動いてくれないんですよ……隊長からもこれが課題って言われてるんですよね」
「そうか、何かあったら何時でも手伝うぜ」
そう言って拓との訓練が終わった。
全員が訓練を一通りやり終わり、一誠が軽く授業をやると言うから全員で集まった。
「それでは授業を始めよう、百鬼夜行に以前からいる枢木君達は知ってる内容を話すが、黙って聞いてて欲しい」
枢木達は黙って頷いた。
「まずは、そうだね我々が対魔師と呼んでいる物は本来は退魔師と書くのは知ってるとは思う、では何故現在対魔師と呼ぶのかは江戸時代まで遡る」
一誠は全員の顔を見回してから言った。
「当時は
姫乃は「そんな奴そう言えばいたわね」とか呟いていた。
それを聞いた一誠は苦笑いを浮かべながら話しを続けた。
「それで、その時の一部の退魔師が、魔を退ける我らがやられてどうする!と言った声が切っ掛けとなり、そこから段々と魔を退ける者から魔と対峙する者、対魔師になっていったんだよ」
夏希は話しを聞いて、成る程!と言った顔をしており、その顔を見た暁良は、よく対魔師になれたなコイツとは思っても口には出さなかった。
「まぁ、字は変わったけどやる事は昔も今もそう変わらないよ」
一誠はハハッと軽く笑ってから話しを区切った。
「次に君達が付けてる腕輪について話そう」
一誠が自分の付けてる腕輪を指刺しながら言った。
「これはね殺生石と特殊な金属を掛け合わせて作った腕輪だよ」
これは暁良も知らなかったのか驚いていた。
「殺生石とは九尾の狐を封印している石と言うのは世間的にも有名だ、それと同じ石を対魔技術班が特殊な金属と特殊な技術で腕輪に加工して対魔師に渡しているんだよ」
「加工技術とか詳しい事は私にも判らないのだけどね」と茶化して言っていた。
元からいた百鬼夜行の面々以外は素直に頷いた。
「さっきの話しと合わせて、この腕輪を渡された者は魔と対峙する資格を得た訳だね」
その後も一誠から知ってた事の補足や知らない事、妖怪の事を教えてもらい授業は終わった。
帰り道は姫乃と帰っていた。
「なぁ、魔王って言われてた奴はそんなにヤバい奴だったのか?」
「ん〜、凄く強いとは当時から聞いてるけど、実際に会った訳ではないからわからないよ」
今日、一誠から話された内容を二人で会話をしていると、姫乃が急に黙った。
「…………」
「どうしたんた?腹でも痛いのか?」
そう言う暁良に「違うわよ……」と返すと、
「実は大討伐に参加した時から誰かに見られてる気がするのよね、最初は気のせいかと思ったのだけど」
そう言って黙り込む姫乃。
「まぁ、今の所は害意を感じないし、妖怪が対魔師側に入ったって事で監視されてるのかな?もう少し様子を見てみるよ」
「そうか、何か合ったら直ぐに言えよ?俺で助けになれるかわかんないけどな」
「うん、ありがとう!暁良が助けてくれるなら私は嬉しいよ?」
「そうか……」
その後も他愛無い会話をした後それぞれ帰路に着いたのである。
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