三十三幕

 一誠は廊下を歩きながら規則を説明してくる。


「ここでは、全部で十の隊があるが基本的には不干渉だ、それは各部隊にも、姫乃さんの様に外に知られたく無い事情を持つ部隊もあるからだ、まぁ、中にはそんな事情を持ってるのにやたらと干渉してくる奴もいなくはないんだがね」


 そう言ってエレベーターに乗り、指紋を機械に読み取らせていた。


「あぁ、これは各部隊に与えられた部屋に行く為の指紋認証システムだ、後で君達にも登録してもらうよ」


 指紋認証が終わるとエレベーターが動き出した。


「さて、話しは戻すと、後はここより上の上層部……まぁ、十二聖とかそれに近い人達から降りてくる命令は最優先案件になる、と言うよりかは、私たちに命令を下すのは、上層部だけだね、それまでは只管に地獄の訓練しかしない」


 地獄の訓練と聞いて大河が一番緊張した顔をした。

 その表情を見た一誠は「そうだね、君が一番地獄になるかもしれないね」と言った。


「さて、対魔師強化教導隊と言われてる物の説明は以上で、次は隊規だね」


 そう言うと隊規の説明を始めた。


「一、仲間を決して見捨てない生きているならば必ず助けに行く。」

「二、任務に支障がない限りは有情であれ、支障が出るなら非情になれ」

「三、生きているならどんな状況でも生にしがみつけ」

「四、決して死ぬな」


 その言葉は悪くない、死んででも敵を倒せ!と言われると思っていたので、暁良としてはこの隊規に従おうと思った。


「さて、説明が全部終わった所で到着したよ、早速入ろうか」


 そう言って一誠は扉を開けて中に入る。

 数歩程歩いてから、こちらに振り返り、


「ようこそ我等、対魔師強化教導隊・第三部隊、百鬼夜行に!我等は君達を歓迎する!」


 その言葉と共に男三人と女一人が近づいてきて横一列に並んだ。


「そして仲間を紹介しよう!左から順に説明をする」


 左の男が一歩前に出てきた。


「俺の名前は枢木 悠太くるるぎ ゆうただ、年齢は33歳で彼女募集中!武器は棒を使った棒術だ、宜しく頼む」


 身長は百六十ちょいと小さめだが、その肉体はよく鍛えられているように見える。


(ん、俺と同い年か?何処かで見た事ある気がするが……)


 暁良は必死に思い出そうとするが思い出せない。

 悠太は紹介が終わったのか、一本後ろに下がると、今度はその隣の男が前に出てきた。


「俺の名前は鈴村 拓すずむら たくです、年齢は二十二歳で、武器は鉄扇です」


 身長は悠太と同じ位ではあるが身体がかなり細い、大丈夫か?と心配になるがここで戦えるんだから大丈夫だろう。

 拓はそう言うと直ぐに後ろに下がった。


 そして拓が下がったと同時に同じように男が一本前に出てきた。


「僕の名前は小室 健こむろ たけるです、年齢は拓と同じで二十二歳、武器は二刀を使った双剣使いです」


 拓とは違い身長は百七十少し超えたくらいで顔は非常に整っている。

 そして一歩下がり隣の女が前に出てきた。


「私の名前は黛 千歌まゆずみ ちか悠太とは幼馴染ですが、それ以上でも何でもありません、武器は鋏です」


 千歌は身長百四十位と、かなり小さ目、髪はおかっぱで日本人形を思わせる様な見た目をしている。


(なんか俺の方見て自己紹介してねーかアイツ?)


 そんな風に考えてると千歌は後ろに下がる。

 すると一誠が前に出てきた。


「そして、この部隊の隊長を務めております来栖一誠です、年齢は四十で武器は糸、結構色んな物が切れるので便利です」


 これで百鬼夜行の各々の自己紹介が終わった。


「次は皆さんの自己紹介をお願いします」


 一誠の言葉で大河から自己紹介はじめていった。

 大河、夏希、未知瑠と紹介し終わり、次は姫乃の番だった。


「私は茨城姫乃、年齢は……まぁ、貴方達とは仲良くなりたいから言うけど、千歳越えよ、正確には覚えてないから許してね、そして年齢を聞いて解る通り、私は人間じゃないわ?本当の名前も覚えてないの、只、周りからは茨城童子とか橋姫とか呼ばれてたわ」


 その言葉に事情を知らない組はポカーンとする。


「そう言う訳なのだけど仲良くしてね?」


 少し沈黙が受け入れられた。

 そして暁良の紹介の番がやってきた。


「俺は源暁良33歳、武器は刀、以上だ、宜しく頼むわ」


 その言葉に悠太が「お前、源か?」と反応し、千歌が「やっぱり……」と呟いた。


「んと、何だ、よくわかんねーけど久しぶりでいいのか?」

「うん、暁良君久しぶりだね!小学生のとき依頼だから二十年ちょっとぶりだね」

「お前、小学生だった時気弱だったのに何か凄い変わったな?」


 暁良は薄らとは覚えてるいるけど、正直誰?って感情のが強いのである。


「まぁ、いいや今後同じ部隊になるみたいだし宜しくな?」


 暁良の言葉に千歌は「宜しくね!」と嬉しそうに返し、悠太は「おう」と簡単に返した。

 そしてその光景を見ていた姫乃は面白くてなかった。

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