二十八幕
あの日から一日開いて二日後、橋姫も急速に傷を回復させたので大討伐の人員が整った。
「まさか、こんなに早く次の大討伐があるとは思わなかったぜ!しかも同じ我孫子山とはな!」
ガハハと相変わらず豪快に笑う男、花菱が部屋に大きく響く声で言っていた。
「花菱さん、おはようございます」
「おぅ!鏑木!今日は暁良はいないのか?」
そう言った花菱に「今日は別の任務があるそうです」と答えておいた。
「そうか、それじゃしょうがねぇ!」
「代わりではないですが今回は心強い人を呼んできてます」
その言葉に後ろから帽子をかぶった橋姫が出てくる。
「初めまして、
そう言うと、他の対魔師が「可愛い」とか「可憐だ」等と呟いていた。
「一応、次期十二聖筆頭候補の一人と呼ばれています」
勿論嘘である。
だがその言葉に周りは「おぉ!」と心強い味方が来た事に喜んだ。
「それじゃ、アンタが今回の指揮を取るのか?」
花菱は問いかけると。
「いえ、今回私はほぼ単独行動になります」
そう言うと周りはどういう事だ?と首を傾げた。
未知瑠が代わりに説明する為に前にでた。
「今回は通達があった通り、虎熊童子、星熊童子、金熊童子を同時に相手します、其々を先に挙げた順番で白鬼、肌鬼、赤鬼と以後呼びます」
周りが頷く。
「そして、彼女は一対一なら先日戦った青鬼も圧倒できる強者です」
未知瑠の言葉を聞いて周りは「流石十二聖筆頭候補……」と驚く。
「ですので彼女は戦闘が始まったら真っ先に白鬼を攫って一対一になります」
これは位牌を持ってるのが白鬼と推測しているからだ。
「彼女は一対一なら五分以内に倒せるそうです」
「マジか、凄まじいな」
花菱の言葉に周りも同意した。
「一対一を三回やります、私達は彼女が戦ってる間、残った鬼を釘付けにするだけです」
「成る程、時間稼ぎでいいなら前よりかはいいか」
「はい、ですが油断は禁物です何が起こるかわかりませんので」
「それはわかってるよ!」
そう言って相変わらずガハハと笑う。
「あら〜それじゃ私も頑張りますねぇ〜」
糸目の女、碓井も気合を入れてる……つもりらしい。
「ですので我々がやる事は足止めです、何か質問がある方はいますか?」
そう言うと恐る恐る手を上げる若い女の対魔師、初めてみる顔の子が手を上げる。
「どうぞ」
「いつも思うのですが、昼間に妖怪って倒せないんですか?」
そう質問すると、花菱がアチャー見たいな顔をして頭がを押さえている。
どうやら新しい花菱のペア相手らしい。
「まさか、ご存知無いのですか?」
そう言って若い女対魔師に視線を向ける。
女対魔師は何かまずい事言った?見たいな表情だった。
「いぁ、流石に知ってるかと思ってたんだ……」
花菱も想定外だったらしい。
「まぁ、初歩の話しなので対魔師試験教官とかが教える内容ですね……」
これは一度、対魔師試験官や教官を見に行かないといけないかな、と思った未知瑠だった。
だが、今回はしょうがないから説明しようと軽く息を吐く。
「まず、昼間で見かけられる妖怪と言うのはそうそういません、そして見かけても倒せません、正確には倒せはします」
他にも知らない新人がいるのか、頭に疑問符を浮かべた様な顔をしている奴らがいた。
近い内に、教育過程を絶対見に行こうと心に誓った瞬間であった。
「ですが、逢魔時から夜明け迄の時間以外で倒しても妖怪は死にません、存在は一時的に消えますが少しの期間立つと復活します」
「次に昼間に倒すと呪いを受けます、どう言う呪いかは、実際に呪われて見ないとわかりません」
それを聞いた新人何人かはゴクリと唾を飲んだ。
「ですが確実に呪われます、そしてこれは妖怪側も同じで昼間に人間を殺すと妖怪も呪われます、ですので昼間は人間の時間、夜は妖怪の時間と言われております」
「それでも呪い覚悟でも一時的に消せるのですよね?」
その様に若い女対魔師が聞いてきた。
「勿論呪い覚悟で、お互い殺し殺されとやる方もいますがそれは例外ですね、みんな呪われたくないですしね、そして人間側にメリットがありません」
基本的に戦いは人間側が不利なのであった。
そう言って説明が終わると「鏑木先生カッコいい!」と花菱や何人かのベテラン対魔師がチャチャをいれてくるので一睨みして黙らした。
「さて、話しは逸れてしまいましたが、今回の大討伐に関して質問ある人はいますか?」
今度は碓井が手を上げた。
「あの〜〜、結局今回のリーダーは誰かやるんですかぁ〜〜?鏑木せんせぇ〜」
未知瑠はその言葉にまだリーダーが決まって無い事を思い出した。
「えっと……今回も花菱さんにやって頂こうかと思います」
未知瑠も丸投げたのであった。
「お前もかよ!まぁいいや、それじゃ俺がリーダーだ!今回は足止めが仕事だが、構わねぇ!倒せるなら首を獲っちまえ!」
その言葉に「「「応!!」」」と答える。
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