十七幕
橋姫が来た事により空気が変わった。
「「「…………」」」
(なんだこの空気、橋姫も自分で会いたい言ったんだからグイグイいけよ……)
暫く沈黙が続いたが夏希が口を開いた。
「か、か、かっ、かっ」
「「?」」
「可愛いです!誰ですか!何なんですか?このテレビで特集組まれ、そのまま芸能界入りした後、イケメンと結婚してから将来セレブ番組に出て来る美少女は!!」
やたらと具体的であった。
「あ、あぁ、こいつは橋姫だ」
「姫!まさに姫ちゃん!姫ちゃんって呼んで良いですか?」
フンスーと鼻息荒く橋姫に詰め寄る夏希、橋姫は凄く迷惑そうな顔をしていた。
「あっ!私は早瀬 夏希と言います!気軽に夏希お姉ちゃんと呼んでね!」
「お前のが年下に見えるし、実際年下だ!」
「どうしよう暁良?この娘怖い」
橋姫を怖がらした事に怖がる暁良。
それから暫くして、夏希の興奮も収まったのから食事を注文した。
「ねぇ、暁良」
「ん、どうした?」
「暁良と夏希って何処で出会ったの?」
「俺が働いてる神社に後から入って巫女やってる時からだから、四年位前か?」
暁良が夏希に聞き返すと聞き取れない声で「……だよ」と言っていたが暁良は聞こえなかった。
「う、うん暁良さんとはそれ位になりますね!」
その言葉に橋姫は「ふーん」と少し不機嫌そうに返した。
「あ、姫ちゃんってお仕事何してるの?」
夏樹は橋姫の仕事が何か気になってる様だ。
「私の仕事はメイド喫茶だよ〜」
暁良は凍りついた。
「えっ、何て言った?」
「メイド喫茶だよ〜」
幻聴を疑ったがどうやらそうで無いとわかったらしい。
「私は良いと思うよ!だってこんなに可愛いんだもん!」
「ありがとう夏希、貴方も可愛いよ〜」
「ってか何でまたメイド喫茶なんかで仕事してるんだ?」
他にも橋姫のスペックなら、色々あるだろうと思って理由を聞いてみた。
「結果だけ言うと、私の勘違いかな?」
「何を勘違いしたんだ?」
「メイド喫茶に勧誘された時に、私はてっきり冥土にある喫茶店だと思ったのよ」
その理由に、成る程と妙に納得した。
「勘違いならやめれば良いんじゃ……」
「勘違いとは言え一度はやると答えちゃったからね、ちゃんとやってるよ?」
夏希はほぇ〜と感想を漏らし、暁良は橋姫を素直に凄いと思った。
「それにしてもメイド喫茶の仕事だけで、タワマンには住めないだろ……」
「あそこは店長が私に働いて貰う代わりに無料で使っていいよって言ってくれてるから問題ないよ」
その言葉に暁良も夏希も反応する。
「タワマンを無料って、姫ちゃん店長に体を要求されたりしてない?大丈夫?」
本気で心配する夏希。
「何で?店長は女の人だよ」
「店長の弱味でも握ってるのか」
店長を心配する暁良。
「何かね、私がいなくなると売り上げが下がるから辞めないでってよく言ってるから、そう言う意味なら弱味握ってるね」
そんな話しをしてたら、やっと食事が届いたのでみんな食べ始めた。
「そういえば暁良さんは戦う時に技名叫んでますよね?」
暁良は食べてた肉を吹き出した。
「行儀悪いよ暁良!」
「そうですそうです!」
吹き出した肉を片付けながら「悪い悪い」と返している。
「それで何で技名叫んでるんです?」
「私の時も叫んでたね〜」
暁良はこのままでは厨二病のレッテルを貼られてしまうと焦った。
「あれは俺がやってる流派の技で、社長も叫ぶし、多分大河も叫ぶぞ?」
言ってる事は本当だが動揺しまくりの暁良に説得力を感じない夏希。
「技名って必要ですか?必要なら私も不可視の矢の技名考えておきます!」
「うん、技名を付ける事によって、霊気の流し方をイメージしやすくなるとは思うよ」
橋姫がフォローをすると説得力が上がる。
「話しは変わりますけど、明日は仕事するんですか?」
夏希が始めた話題だが、話しを変えてくれる事にホッとする。
「いゃ、具体的な事はまだ考えてはいないが、未知瑠ペアとも少し、情報共有をしておいた方が良いかなとは思ってる」
「あっ、そうですね!未知瑠さんと大河君が何をしたのか知りたいです!」
二人のやり取りを見ていた橋姫は「そういえば、鏑木もペアを組んだの?」とか聞いてくる。
それに対して「そうですよ!」と返事をした夏希。
「それにしても、何でペアが俺と夏希で、未知瑠と大河なんだろうな?」
暁良は何でだろうと軽く思考する素振りを見せると「私、何となくわかりますよ!」と言ってくる夏希に話しを聞いてみた。
「多分、異性のペアにしたのはカップルになるのを教会が推進してるのですよ!」
真面目に聞いて損したと思った暁良。
「何言ってるんだ?」「それはあるかもしれないよ」
しかし橋姫はあり得ると言う。
「昔から対魔師同士の子供は、強い霊気を宿すと言うし、実際に対魔の一族はかなり強いよ〜」
橋姫が説明をしてくれる横では夏希が「ほらぁ〜!」とか「昔って……?」とか言ってるが無視して橋姫の話しを聞く。
「それに新人の女対魔師は、自分の事を命掛けで守ってくれるベテラン対魔師の事をカッコいい!好き!ってなりやすいんじゃないのかな?」
そう言うと横で一人、顔を赤くして吹けない口笛を吹いてる奴がいる。
「逆も同じで、ベテランの女対魔師と新人男対魔師で組ませれば、新人が女対魔師に良い所を見せようとして、訓練とか仕事を頑張る姿に女対魔師は好きになりやすいとか?」
「成る程…….」
「ペアにしたのは、そこに他の要因をいれたくなかったとかじゃないかな〜」
橋姫はそう言うと最後に「全部私の考えだからわからないけどね〜」とか言ってはいるが、聞いてた暁良は、その推測が正しいんじゃないかと思い始めていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます