君(の描く絵)が好きです!と告白したら何故か付き合った

こあた

第1話

 俺の名前は綾部 爽。特にこれといった特技もなく毎日、平凡な高校生活を送っている。

 だが俺にだって好きなものはある。

 

 絵だ。絵が好きなんだ。俺は生粋の絵好きで、毎日検索をかけている。 

 

 そしてそんな俺の楽しみなもの。それは、隣の席の水瀬さんが描く絵を盗み見ることだ‼︎


 ……これだけ聞いたらストーカーか何かと勘違いするかもしれないが、ほら勉強中に思わず部屋の掃除をしてしまうことがあるだろう?それと同じだ。


 仕方がないことなのだ。なんといっても水瀬さんは絵が上手い。美術部なのもそうだが、前の表彰式で最優秀賞を受賞したこともある。

 キャラクターの絵から風景画までさまざまなジャンルの絵を描くことができる。

 

 何故こんなことを知ってるっかって?いつも見てるからに決まってるだろ?


 まあその話は置いといて、俺には目標がある。高校に入学してから今この時に至るまでの目標が!

その目標とは、水瀬さんと友達になることだ! 


 もし水瀬さんと友達になれたら、好きな絵のことを話せて俺の高校生活も華やかになると思うし、俺も今うまい絵が描けるように練習しているので、教えてもらいたい。

 それに楽しそうな気がするからだ。下心はないぞ。決して。


 だから今日こそ、水瀬さんに(友達になってくださいと)告白する!

 


ーーーーーーーーーーー


 授業が終わり教室がうるさくなった昼休み。

 「うーむ、どうやって伝えようか」


 俺は一人でそんなことを考えていた。するとそこに近づく一つの影。

 「おーい、爽。購買行こうぜ!」


 俺に声をかけたのは小学校時代からの友達 渡辺 諒。明るい赤髪でスポーツ万能のイケメン。うるさいやつ。


 「なんだ、諒。今考え中なんだ。」

 「お前が考え事?珍しいな。何で悩んでんだ?相談乗ってやるよ。」

 でもいいやつ。俺は席から立って、諒と一緒に購買へ向かう。


 「あぁ、ちょっとな。ほら、俺の隣の席に水瀬さんって人がいるだろ。その人について考えてたんだ。」

 「あの絵が上手い人だろ。それに加えて美人の。その人がどうしたんだ。てっきりまた絵のことかと思ったが」

 「実は、水瀬さんに(友達になろうって)告白しようと思うんだ。」

 「ブーーーーーーーーーーーー?!?!!?」

 「何だ汚い。やめてくれ。こっちは真面目に相談してんだからさ」

 「いやいや!そんな相談だとは思わないだろ普通!てか、マジで告白すんの⁉︎」

 「俺は(絵のことに関しては)本気だ!嘘なんてつくわけがない!」

 「お、おう……そうか…ん?なら、何に悩んでたんだ?」

 「あぁ、どうやって伝えようか悩んでたんだ。」


 俺が要件を伝えると、諒はあーと納得したように

言ってきた。


 「だってお前付き合ったことないもんな。」

 「は?う、うるさい!それは関係ないだろ!別に女の子と(友達として)付き合ったことがなくても!」

 「そこまで本気にならなくても。でもよかったよ。お前にそう思える人がいて。」

 「ん?別に普通だろ。お前だって何人もいるだろ」

 「いや何人もいたらやばいだろ。王様か何かか?俺は琴奈一途だ。」


 諒が今言った琴奈とは雛口 琴奈。こいつの小学校時代からの恋人である。


「何を言っているんだ?雛口さんはお前の恋人だろ?」

 「へ?いやいや。恋人がいるかいないかの話してんだろ。そっちこそ何言ってんだ?」

 「は?」

 「へ?」


 そこで俺たちはようやく理解した。話がずれていると。

 



 

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