第10話

蝉の声が激しい7月、窓の外を麻衣と愛猫のネオは眺めていた。今日は、真一が来る日。

しかし、お腹の調子が悪い。

真一には告げずひたすら待つ麻衣。

告げると、来ないのではないかと不安があった。

午後5時、真一から着信がある。

「着いたよ。」

いつもの声に安心する麻衣。

「はーい。」

ネオと小走りに玄関に向かう。

しばらくすると、真一がキャリーバッグと手土産を持ち現れる。

「お帰り~」

麻衣の弾む声に

「あぁ」とクールな真一だが、心中は嬉しさでいっぱいだった。500kmもの距離を全力で走り抜けた疲れと

やっと会えたという気持ちがほっとした表情に出ていた。部屋に着き、麻衣が用意した部屋着に着替え、ソファーに座るとビールを渡した。


それをごくごくと、飲むと麻衣は真一の胸に飛び込む。

「会いたかったぁ」

たくましい腕に抱かれて、麻衣はうっとりとした表情で真一の目を覗き込んだ。お腹の調子が悪いのも忘れて…。

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