第11話

「あのさ、言ってなかったんだけどお腹の調子悪くて…」

言い終わるか終わらないうちに、麻衣はトイレに駆け込んだ。


すぐに真一が来て

「大丈夫か?」

「う、うん。大丈夫よ」

『こんなに心配してくれるんだ。

真一は、ほんとに優しいな。』


今日はとても、外食出来そうにもない。

「なんか、食べれそうなもの買ってこようか?」

「ありがとう、ごめんね」

真一は、すぐに財布を持つと、出掛けた。

そして、麻衣のために消化良さそうなものを買って帰った。

「今日は休めば?」

「うん、そうする。ずっと二人で、居られるね。」

そしてまた、真一に身体を預ける。

寝るときは、必ず腕枕だし、寝返り打っても後ろから麻衣を抱き締めた。


二人の時間はあっという間に過ぎる。


翌朝、また、仕事に行く真一を麻衣は見送りに出る。

今度、いつ会えるかわからない。

寂しくて寂しくて、泣きそうになる。

「いってらっしゃい」

「いってきます」

麻衣もそうだが真一も別れ際は、寂しそうな目で麻衣を見つめる。人目も気にせず、麻衣はキスをした。


家に帰ることもあるが、全体的に麻衣の家に帰ることのほうが多い。デートを越えて、もうすでに生活になっている。真一はゴミを捨てたり洗い物をしたりもする。麻衣には、旦那のような存在だ。


不倫をする気はなかった。店で会えるだけで良かった。しかし、あるとき真一がキスした時から二人の想いは、

止まらなくなってしまった。

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