第7話 そ、そんな事しないよ……
昼食の後、洗い物を済ませると、俺は動きやすい格好に着替えた。
そして、
一階に倉庫代わりとして使っている部屋があるらしい。
以前、住んでいた生徒達の私物が保管されているようだ。
「どうせ取りにこんから、好きに使ってよいぞ」
との事だったので、遠慮なく使わせて
園芸用の道具があったので、スマホで写真を撮っておく。
色々と
(
山菜は『素人が簡単に見つけられる』とは思えなかった。
そもそも、お腹が
野菜を作ろうにも畑がないし、苗や種から育てると時間が掛かる。
という訳で、今日は釣りをする事にした。
自転車をメンテナンスしつつ、『釣りの道具』も手入れする。
恐らく、一時間は掛かるだろうか?
外に運び出すと、
パンクはしていないので、空気を入れ直せばいいだろう。
チェーンに油を差して、軽く動かしてみる。
変な音はしない。ブレーキも問題ないようだ。
全体を軽く
――そうだ!
(神月さんも一緒だから、後ろに乗るのかな?)
二人乗りを想像すると、ついニヤけてしまった。
「お
とは朔姫。いつの間にか背後に回り込まれてしまったようだ。
俺が――どう言い訳しようか――と考えていると、
「よいよい、よい傾向じゃ……」
そう言って、朔姫は
昨日から感じていた事だけれど、彼女には
「後はリヤカーをくっつければ完璧じゃな!」
と言って玄関の方を向く。
確かに、折畳み式のリヤカーが置かれている。
「この島では、ナウなヤングのマストアイテムじゃ!」
そう言って朔姫は笑う。
俺は――いつの時代の話だよ――とツッコミそうになった。
島の開発に伴い、乗り物は基本、電動式になった
お金を
取り
また朔姫は、
「夕飯の買い物リストじゃ」
と言って、メモと財布を渡してきた。
「魚が釣れたのなら、魚は買わなくてもよいぞ」
彼女はケラケラと笑った。どうやら、あまり期待はしていないようだ。
そもそも今の時期、
スマホで情報を確認して、竿と仕掛けを用意する。
大事に使われていたようで、問題はなさそうだ。
ケースに入っていたので綺麗なモノだった。
仕掛けの針も開封されていないのが
リールも問題なく使える。
結構、お金が掛かるので、買い替える必要がないのは助かる。
『釣りの道具』と一緒に『バケツ』や『クーラーボックス』をリヤカーに積み込む。これで準備は完了だろう。
そこへ丁度、神月さんが来たので、
「可愛いね、似合ってるよ」
そう言った後、俺は落ち込み、
(今、呼びに行こうと思っていたんだ――と言おうとしたのに……)
てっきり、制服姿を想像していたのに、白のワンピースで来るのは
合わせてツバの広い帽子まである。
同級生というよりも、
「
とは朔姫。俺の挙動不審な様子に
神月さんも――どうしたらいいのか、分からない様子で――オロオロとしている。
「ああ、ゴメン……行こうか?」
嫌じゃなければね――と、ついつい付け足しそうになる。
俺は立ち上がると自転車へと乗った。
(行きは下り坂だけど、帰りは死ぬかも……)
などと自分の体力の無さを考えてしまう。
一方、神月さんの方は
「待っていてください……」
寮の中へと戻って行った。
――忘れ物だろうか?
朔姫と顔を見合わせ、互いに首を
「お待たせしました」
そう言った彼女の手には、大きめの麦わら帽子があり、
「熱中症になってしまいます……」
と言って、俺の頭に帽子を
先輩達の忘れ物だろうか?
いや、それにしては新しい。どうやら、彼女の私物のようだ。
「あのっ!」
と神月さん。改まってどうしたのだろう?
「きょ、今日はよろしくお願いします」
そう言って頭を下げた。
世話になっているのは、こっちもだ。
(気にしなくていいのに……)
「あ、あの……迷惑だと思ったら、置いて行ってください」
と
俺って『女の子を置いて帰るような男』だと思われているのだろうか?
――ショックだ。
「そ、そんな事しないよ……」
と俺は
どうやら、まだ信頼されていないらしい。
――この
俺は新たな決意をする。
「ほら、スーパーが閉まる前に行かんか!」
とは朔姫。完全に魚が釣れない想定のようだ。
神月さんがリヤカーに乗ったのを確認して、俺はペダルを
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