神月さんは怖くない?~怯えていただけなんだよね~
神霊刃シン
神月さんは怖くない?
プロローグ
第1話 二度目の夏(1)
季節は『二度目の夏』を
ギラギラと照りつける太陽。
場所は学校の中庭。
食料確保の
『きゅうり』や『トマト』が面白いように沢山、実をつけている。
「今年は豊作ですね」
と『
出会った頃からは想像がつかない、優しい表情だ。
(最初は人形のように整った印象があったのだけれど……)
この一年で、
「うむっ! 去年の畑作りは最悪じゃったのう」
とは『
腕を組み――うんうん――と一人
小柄で愛らしい外見のため、学校では男女問わず人気がある。
(人気の秘密はそれだけじゃないけど……)
彼女の場合は手伝っているのか、邪魔をしに来ているのか、
そんな朔姫の言葉に、
「そうでしたっけ?」
と『
また、面倒な展開になりそうだ。
(朔姫の話は『無視するのが一番だ』というのに……)
一学年下という事もあり、朔姫達に対しては素直な態度を見せる。
けれど、俺と二人きりの時は
「そうなのじゃ! こやつはいきなり奏へとアレをぶっかけたのじゃ……」
と朔姫は語る。
(
もっと変な話が飛び出すのかと思っていた。
一方、菊花は
そして、俺と神月さんを交互に見比べた。
「水だよ、水――畑に
俺は一応、説明しておく。
神月さんもコクコクと
しかし、朔姫には聞こえていないのだろうか?
「独りぼっちの少女を
淡々と話を続ける。菊花は想像を
赤面しながら、両手で顔を
「だから、水を掛けただけだって……」
俺の
「ぼっちの少女で合っているじゃろ!」
――どうすれば、黙ってくれるのだろうか?
頭を悩ませる俺に対し、
「食欲を満たすという欲望の
と朔姫は言い放つ。
(『水』って言っちゃってるよ……)
「
と神月さん。即断即決⁉
笑顔を浮かべつつ、その手には
「怖いわ! 目が笑っておらん……」
助けてくれ!――と慌てる朔姫。
彼女は
(暑いので引っ付かないで欲しい……)
小柄な朔姫が着ているのはブカブカな作業服だ。
サイズが無かったのか、
胸が大きい事が武器だと理解しているようで、挑発するように胸元を開けていた。
男子なら当然、視線が吸い寄せられてしまう。
一方、笑顔の神月さんは麦わら帽子を
Tシャツにオーバーオールのジーンズ。
長靴という恰好だけれど、今日も綺麗だ。
制服姿もいいけれど、こういう姿も絵になる。
「いかん! こやつ、まったく別の事を考えておる……」
この役立たずが!――と朔姫。しかし、そんな事を言っている間にも、神月さんはゆっくりと、こちらに
「菊花っ⁉
と今度は菊花に助けを求める朔姫。
菊花は慌てて視線を左右に動かすと、
「あっ、神月センパイ! 桜の木はあそこです……」
そう言って、校舎の方を指差した。
――『埋めろ』という事だろうか?
「
再び、周囲を見渡す朔姫。
けれど、今は夏休みだ。
そうそう都合よく、この
「騒がしいな?
『
長身でスタイルもよく、去年は『謎の美人転校生』として、持て
しかし、彼女は『寮で留守番をする』と言っていた。
(部活にも所属していない
そんな姿で偶然、通りがかる訳もない。
――もしかして、手伝ってくれるのだろうか?
「おおっ、助けてくれなのじゃ!」
と朔姫。弥生と仲が悪い訳ではない。
けれど、弥生の目的は『朔姫を本土へと連れて帰る事』だ。
――借りなど作っていいのだろうか?
「わたしと一緒に……帰ってくれる気になったのだな⁉」
と弥生。しかし彼女には『
それでも、弥生が『ここに居る
「そんな訳あるかっ!」
バカ
「お
そう言って、朔姫は俺のズボンを引っ張る。
――やれやれだ。
「それよりも、お弁当を作ってきたぞ!」
お昼にしないか?――そう言って、弥生は手に持っていた紙袋を見せる。
たまには外で食べるのも、いいかも知れない。
(それなら朝、寮に居る時に言ってくれれば、手伝ったのに……)
「どうせ、買って来た総菜を詰め替えて……」
『手作りだ』と言うつもりじゃろ?――朔姫がボソリと
「ち、違うぞ!
そう言って、弥生は手を突き出す。
慌てた時点で、認めているようなモノだ。
朔姫は――ふんっ!――と鼻で笑うと、
「アホうが……利き手を包丁で怪我する訳なかろう」
あざとい事ばかり考えおって――と言い返す。
図星だったのか、弥生はガクッと
「それよりも……助けてくれたら、こやつを一晩貸してやろう」
朔姫は
俺にしがみ付きならが、勝手に
「ホントか⁉ 分かった!」
――いったい、俺に
「待ってください!」
そういう事なら、あたしも参戦します!――とは菊花だ。
――俺を『
「やはり、
神月さんは朔姫を
「ふぅ~!――どうやら、命拾いをしたようじゃ……」
と朔姫。額の汗を
(
目の前では、
――どうしてこうも、次から次へと面倒事が起こるのだろうか?
俺こと『
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