吹雪の中

ツヨシ

第1話

友人と二人で山に登った。

冬に。

天気予想では快晴のはずだったのだが、山の天気はあてにはならない。

吹雪。

もうとんでもない吹雪に見舞われてしまった。

視界はないに等しい。

伸ばした自分の手の先が見えないほどだ。

白につつまれた闇だ。

――もうすぐ山小屋があるはずなのだが。

果たして無事に山小屋までたどり着くことができるのだろうか。

そんなことを考えていると、俺は突然ほほを撫でられた。俺のほほを撫でたもの。

それは間違いなく人間の手だった。

「おい、やめろよ」

驚いた俺は、思わず吹雪に負けないぐらいの大声でそう言った。

すると友人も大きな声で返してきた。

「なに、どうしたんだ」

その声は、俺が思っていたよりも全然離れた場所から聞こえてきた。

そして友人がそう言い終わった途端、おれは再びほほを撫でられた。


       終

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吹雪の中 ツヨシ @kunkunkonkon

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