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from ユウタ
✎…
俺は部屋に戻った後、備えつけであるベットに腰掛け、そのまま寝っ転がった。
「…瑠菜。」
いつだって笑顔が絶えなくて可愛くて優しくて、誰からも好かれるそんなやつ。俺はそんな彼女が大好きだった。たった1人の幼なじみであり恋人である彼女をなんでも知ってるつもりだった。勿論彼女も俺の事をわかってくれてる…そう思っていたのに。
・
(過去)
「悠汰〜?遅れるよ」
「待って、今行くー!!」
「ごめんなさいね瑠菜ちゃん。いつも悠汰が遅くて。。」
「大丈夫だよ、悠汰ママ。
朝が弱いこと知ってるからっ」
俺はいつも、瑠菜を待たせていた。
…悪いとは思ってる。でもどうしても朝は起きれない。これ以上待たせては行けないから髪はセットしないのが当たり前だった。
「悪ぃ…今日も待たせちゃって」
「ふふ、いいよ。あーまた髪立ってる。
もー学校着いたらセットしてあげるね」
「助かる」
そんなたわいもない会話をしながら、母さんに行ってきますと伝え手を繋ぎ歩く。この時間が俺は好きだった。
「今日英語の小テストだけど大丈夫?」
「げ、やってねぇ…」
「って言うと思った。これ見ておけば最低限は取れるからね」
「ありがとう。感謝する」
瑠菜はいつも俺を気にかけてくれてた。
この英語のノートだって、自分の勉強時間削ってやってくれたんだもんな。そうだ今日、瑠菜とデートしよう。いつものお礼と謝罪を込めて。俺にしてはいい案じゃね?と思い瑠菜に提案した
「な、今日部活休みだからさ。放課後…デートしね?」
「え?悠汰から誘ってくれるなんて…嬉しい。うんもちろんっ!」
万円の笑みで見てくる瑠菜が愛おしくて仕方ない。そのまま気持ちは高ぶりながら学校へと足を進ませた。
でもこの時はまだ知らなかった。
瑠菜が…。
・
(今)
「……。」
過去に縛られては行かないのは知ってる。
でも、今思えば瑠菜に束縛されていたのかもしれない。
彼女の優しさが時には俺にとって恐怖であったのは間違いはない。でも、…それを含めても愛していたのは彼女の沼に入り浸かっていたからであろう。
「…もう居ねぇのにな」
スマホに入っている写真。
二人で撮った写真は消せないままだ。
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