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from カコ


✎ …。


ハヤトさん、ルカさん、タケルさんが自室に戻ったあと沈黙が続く。なんで俺だけ過去晒したんだと明らかにしょげてるユウタくんを横にあたふたしてるユアちゃん。まぁいいんじゃない?どうせ後で知ることになるんだからさとリン。ここは自由か…。時計を見れば10時過ぎを指していた。


「カコもユウタもユアも部屋に戻りな〜。

疲れたでしょ?今日は休むといいよ。」


その沈黙を破ったのはリンで、1人1人目線を合わせそういう。まぁ、ユウタくんとユアちゃんは今日来たばっかだし、、今ここにいたら話してしまいそうで怖い。


逃げるわけじゃないけど、私は自分の部屋へと足を進ませる。そして、部屋に着けばベットにダイブした。…嫌だ思い出してしまいそうだ。



(過去)


「もう嫌だ…痛いよ!!お父さんお母さん」


「うるせぇ!!出来損ないのお前が口開くな、!!」


「私達に迷惑ばっかかけやがって。。!」


「…うっ、あっ。いたいよ…」


毎日暴言、暴行なんて当たり前だった。

気が済むまで殴られて嫌な言葉もかけられる。私はここで死ぬのではないかと思うぐらいで毎回終わるけど、ターゲットは変わる。そう


「や、やめろよ!!架恋じゃなくて俺にやれ…っ!!」


私の兄に。

自分だって怖いくせにいつだって飛んできてくれる。ヒーローみたいに。

まぁ、この人達がそんなこと聞く訳もなくストレス発散かのように殴り、蹴る。ある程度長い間やり気が済んだのか、


「今日お前らのご飯ねぇからな」


と一言をおいて、どうやら出かけるらしい。

部屋に静寂が広がる。ちらっと兄の方を見れば、さっき殴られた箇所を抑えている。私が見ているのに気づいたのか。


「あー。いてぇ。っ、架恋だいぶ殴られたよな。ごめんな…怖かったよな。」


優しくそっと抱きしめてくれるお兄ちゃんの存在がどれだけ大きいか。安心感に浸れば私は気付いたら泣いていた。


「うっ…お兄ちゃん…」


「俺がいるからな。大丈夫だ」



(今)


「っ…お兄ちゃん…」


今はもう居ない泣き兄の存在。久しぶりに夢で見た。…会いたい…会いたいよ。


ベットの上。

気づけば涙が止まらなくなっていた。

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