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from リン


✎…


皆が自室に帰ったあと僕は片付けをする。

まぁたしかに過去を言おうとか言いながらも僕自身も言えない。失敗したなぁと思いながら1人リビングのソファーに腰掛けた。


「少しだけ寝よっと」


眠りにつく。

このまま起きていたらきっと -あの人の過去-を思い出してしまいそうだ。



(前世)


「…」


ワイワイガヤガヤいつだってここ、

よいこの里養護施設は賑やかで煩かった。

俺はここが嫌いだ。


いつか迎えに来てくれるとは思わない。

ここにいるやつは親に捨てられてここにいんだ。なのになんでそんなに笑ってられる?


「煩さっ。…外行こっと」


仮に迎えに来てるならもう俺だって来てるはずなんだ。0歳からいるここの施設で1度も親も親戚でさえも見かけない。はーこの世は残酷で惨めなものだと、12歳ながら思う。外はいいものだ、区画整理されたこの場所だけで一生過ごしていくなんて生き地獄みたいなもん。早く出ていきたい誰でもいい、来てくんねぇかな。


「しゅーごくんあそぼ!」


「ずるーい!私がしゅーこくんとあそぶの!」


「えー○○ちゃんはこのまえあそんでもらってたじゃん〜!!こんどはぼくのばんだよ!」


「べつにいいじゃんまたあそんでもらうの!」



…お前らじゃねぇんだよ。俺が求めてる人はさ。だからガキ嫌いなんだけどでもこんな俺でも求めてくれるんだなこいつらは。


仕方ねぇな。



「順番な〜?。先に○○くんからあそんで午後からは○○ちゃんと遊ぶ。それでいいか?」


「「うん!」」


聞き分けのいいガキは嫌いじゃねぇ。

でも、もう面倒みる年長は疲れるな。早くこっちに来てーと呼ぶ声に、返答すれば施設の中へ戻る。この時はまだ幸せだったかもしれない。



…知らなかったんだ。





(今世)


「…またあの人だよ。柊吾くんの過去

僕に一体何を訴えたいんだ?」


考えれば考えるほど分からなくなる。辛いな

もう、この記憶無くしたい。


新しく鮮明に出てくるこの思い出が、

僕を苦しめていく。


「だめだめ、暗くなったら。明るく僕はいないと。。」



外は酷い雨だ。

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