過去⑴

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from ルカ


✎ …


あれから自分の部屋に戻り、片付けきれていない部屋を見渡す。まだ、ひとつとも手を出していないダンボールが視界に広がった。


「…明日片付けることにしましょ」


備え付けのベットに腰掛け、そういえばリンから貰ったホットティーを口にした。ほのかに香るフレーバーティーで、とても心が安らぐ。まるであの人…紘さんのように。




(過去)


「人がいっぱい…ほんとに来てよかったのかな」


初めて出会った大人の男の人に今度茶会を開くからおいでと言われ思わずうんと言ってしまった1ヶ月前の私。我ながら単純だなと思いつつも内心嬉しかった感情の方が大きかったりするだっていつもは着ない女の子らしいワンピースを着ているんだもの。ほんと私ってバカね。


前に来た庭園に来たものの、この前いた人はここには居ない見たい。やっぱり嘘だったのかな、大人の冗談ってやつに引っかかったのかもしれない。これも1つの経験、今日は帰ろうそう思った時だった。



「あれ?見たことない人いる…」



自分よりも小さい、前髪が揃っていて優しそうだけどどこか私を警戒しているその子はとても愛らしく可愛らしい子だった。男の子だろうか、和服がとても似合う子だ。


「あ、えっと。怪しいものじゃなくて…!」


「?」


「その…」


少しだけ待ってて!とその子は言った。

バタバタと走る音がする。割と大きな声で話しているのか、会話の内容が聞こえてきた。


“お父様ー。なんかお庭に女の子来てるよ?お父様のお知り合い?“


“女の子…?あー、ルカくんだね。

あぁ、父さんの知り合いだ。連れてきてくれはいか?“


“わかった!“



「おねーさん、お父様の知り合いだったんだね!呼んでたら迎えに来たよ。こっち!着いてきて!」


手をさしのべられる。

こんな純粋な子、初めてだ。


「僕、みやしたはやと !

はやとって呼んでくれたら嬉しいなぁ」


「はやとくんね。私は、立花楼華。るかって呼んでね」


「分かったよ!るかさん!」



ニコッと笑うはやとくん。

そして連れていかれる紘さんの元に、1ヶ月ぶりの紘さんは


「久しぶりだね。そこに座って待っていてくれ。抹茶は飲めるかい?」


あいからわず優しくて、大人で


「はい、飲めます!」


かっこいい人だ。




(現在)


「思い出してしまったわ。

懐かしい、あの時初めてハヤトくんに会ったのよね。…今の彼は覚えてなさそうだけど」


何処か昔に出会ったことがあった彼と初めてお会いしたのはあの時だったんだと改めて思い出す。


「可愛かったのよね。ふふ、…でもだからこそあーなってしまったのかしら」


今でもこれだけは覚えている。

あの日全てが変わった。

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