出会い

page 8

from カコ


✎ …


「さあ、こっちだよ」


「ここは?」


「ここは、カコと僕のお家。居心地悪い家で過ごすより僕と過ごした方が楽しくない?」


そう言ってリンは私の手を取って扉を開けた。少し古くさい外見とは裏腹に綺麗にされている内装であり、どこかの国の別荘かのような建物を自分よりも年下であろうリンはどうやって手に入れたのか。


「あ、言っとくけど僕。カコより年上だよ」


「えっ!?嘘でしょ…」


「本当だよ」


こんなんで嘘ついても意味無くない?と言う彼はいつも通りの意地悪な笑顔を浮かばせていた。これが…私よりも年上?分からないことが多いのが社会だとこの時生まれて初めてしった。これ以上考えていても頭が痛くなるだけだしやめとこ。


何気なく連れてこられて1ヶ月。

そこからの毎日は今まで気を使っていた親戚の家々とは違いすごく楽しく笑顔が絶えずにいたあの時ように幸せだった。やっと私にも幸せになるきっかけを見つけたと思った反面家族の存在がしっかりと染み付いている。いつか迎えに来てくれて、あの時は悪かったと謝ってくれる両親に優しく抱きしめてくれる兄が何処かにいるんだと …居ないのは分かっているのに。


「カコ〜?どこ見てるの?」


「え?あ、えっとね。四葉のクローバー見つけてまだあるかなーって」


「ふーん。じゃあ後で僕も探すの手伝う!

カコには幸せになってもらわないと行けないからね」


買い物帰りなのであろうか、手には買い物袋を持ったリンが横に座ってよーし僕も探すぞー!!と気合いを入れているのを見て思わず笑ってしまう。


「何がそんなに楽しいのか」


「面白いでしょ、リンって…え!?」


嫌味たらしく言ってきた赤い目をした男の子はリンに対して “ここ何処だよ。てかなんで女いんの嘘ついたな?“と聞いている。かなりトゲがある言い方…苦手だな。リンの方に助け舟をだせば、


「もーユウタ。女の子には冷たくしないの!!

あ、カコ紹介遅れちゃったごめんね!今日から一緒に過ごす子だよ!!」


と、逆に煽られた。

ユウタと紹介されたこと互いに目を合わせれば


「はぁ…最悪。一応自己紹介しとく

藍沢ユウタ。言っとくけど優しくするつもりなんてねぇよ」


「ええ。。あっ、松島カコです。よろしくね?」


「松島ね。覚えた」



先程とは裏腹に優しい声で言う私の苗字。

少しいい人かもと思えば、そんなに見るなと言われた。…これってツンデレ。。?

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