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from 横山タケル


✎ …


昔から俺は、親父や母さん、兄貴に

色んなことをできるようにと教育されてた。最初は良かったんだ、色んな習い事が出来たしそれなりに楽しかったから。でも、それはある日幻滅へと変わる。


俺の家族が“人殺しの1家“だと確信ついたのは、小3の時。兄貴に連れられて来られた古い工場。


「タケル、今から兄ちゃんは人を始末する」


「え、嘘だよね?」


「いや本当だよ。ここにいたら危ないから万が一敵が襲ってきたらこれで刺せ、いいな」


自分の将来の夢をしっかり持っていた兄は俺の憧れだった。兄から渡された折りたたみ式ナイフを受け取れば、ぎゅっと握りしめる。今まで気づいてなかったのが不思議だった。

俺の家族は平気で人を殺す1家であって、俺もその一員であったこと。だからやけに大人の人がうちに来てたんだ。あれは子分なんだろうか、考えれば考えるほど今まで謎だったことが確信へと変わる。全部今まで習い事を習わせてくれたのは全て人を殺すこと為だけにやってたんだと。


…なんだ、俺だってできるじゃん


あたりは1面真っ赤に染っていた。

兄貴を助けたくてやった一瞬の出来事だったが自分が刺したナイフにより相手が崩れて落ちていくのを目にした。人ってこんなに呆気なく終わるものなのだと悟る。


「さすが、俺の弟だな。よくやった!!」


兄貴はこれでもかって褒めてくれた。

素直に嬉しかった。憧れである兄貴に褒めて貰えたから。…それからというもの家族は色んな所に連れて行ってくれてはやってみろといわれ次々と依頼を始末していく。これが俺の人生なんだと決心しつつも、心のどこかで普通の暮らしが送れるのではないかとも思った。そんな事できることはないのに、いやなれる資格がない。理由は今でも鮮明に覚えている俺が13歳だった時に起きた一家を巻き込む事件。その家族を始末したのは紛れもなく親父だった。


こんなやつが幸せになんてなれるわけないのに。平和に、普通に暮らして見たかった。それからと言うものサツに追われるのは日常へと変わる。



「タケル?何処見てるのー?おーい!」


「お、リン。…すまん、なんかあったか?」


「ご飯だよって呼んでるのに全然びくともしないんだもん。」


どうやらだいぶ呼んでいたらしい。

心配なんて普段しない、リンが言うんだから尚更だ。何も無い大丈夫だと伝えれば心配して損したーとかいう。ほんと常識というものはこいつにはないのか。



「どーでもいいけど。過去のこと思い出して

あの子達に嫌われたらどうしよう?とか考えないでよねー」


「っ!」


「んえー?図星??」


「うるせぇな。。しょうがねぇだろ。

俺みたいなやつに優しく兄のようだって言ってくれたんだ。そんな奴らに人殺しの1家だってバレたら俺はここには居られない」


警戒されるのは知ってるから。

大好きだと心から思えるあいつらだけには嫌われたくないから。俺がこんなことを言うのはリンしかおらず、珍しく目をぱちくりさせそして、笑顔で放った。


「タケルは人思いだね。

人殺しの1家とは思えないぐらい。」


「え」


「ご飯冷めるから早くおいでよー。

みんな待ってるから」


余計なこと考えないほーが効率いいよ

なんて言いながらその場を去るリン。時々こいつが言ってる意味が分からなくなる。

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