十一月二十四日

 大体、毎年この日は中学の期末テスト最終日で早帰りだったし、部活もなかった。覚えているのはいつもそれだけ。


 高校でサッカー部に入って、坊主にした姿を見たのは少し衝撃だったけど、デザートイーグルの反動に比べれば、たぶん大したこと無かったし、一般の成人男性くらいなら撃った時に肩が外れる心配も無かった。今日で十九歳になる。


 公文のカレンダーにコラムとして載っていた変な鳥の鳴き声(名前は忘れた)を教えてくれたのも、バルスがトルコ語で平和を意味するのだと言っていたのも、「ブルパップ方式」という耳慣れない単語を知ったのも、その時だった。


 お父さんは風車を作る仕事だと言っていたけど、それが発電用なのかハウステンボスに飾るためなのか、何に使われるのかは分からなくて、でもきっと風を生み出すことは確かだった。


 ちょうど今、ケーキに灯るロウソクを吹き消すように。

 誕生日おめでとう。

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