七月十七日

 妹の写真を見せたら、顔似てないよね、と言われることがよくあった。でも、心のどこかでは、似てないねと言われることを期待しているあたしもいた。妹の方が身長が高かった。


 妹とはよくけんかした。もっと歳が離れていれば、やさしくできたはずだし、身長さえ勝っていれば、あたしは立派なお姉ちゃんだったはずだ、と何度も思った。


 テレビで見かけたキラキラネームランキングに、あたしの名前は天音あまねではなく、「そぷら」という読みで載っていた。


 もし、そぷらという名前だったら、白鍵みたく整列した歯並びで生まれてて、顎関節症にもなってなくて、少しは今とは違うあたしになってたかな、音階のそろった妹が生まれてたのかな、と自分に問いかけて、納得する。


 ううん、これでいい。あまね、でよかった。

 誕生日おめでとう、あたし。

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