第4話 Free Life3期生初配信:前編

「失礼します」


父さんに言われていた日時より、少し早めに僕は会議室に来ていた。

30分前行動って大事だよね。あれ、もう人がいる...確かこの子って...


「こんばんは~、はじめまして...じゃないよね?私、椎名 雪(しいな ゆき)だよ~。

確か貴方の名前は...奏先輩だったよね?やっぱり先輩だから

敬語使った方が良い感じ?」


あれ、この娘たしか...2年生の間でも雑誌の読モやってるとかで有名な娘だったよね


「え?僕の事知ってるの?学校でもあんまり目立たないタイプだと思うんだけど...

それと敬語はいらないよ?」


あれ?自分で言っておいて悲しくなってきたな...


「結構1年の女子の間では有名だよ~?"リアル男の娘"って」


「え、そうなの?...ていうか滅茶苦茶不名誉な理由の気がするんだけど...」


「何言ってるの?男の娘はね、人類が生み出した宝だよ?誇りに思っても

良いことだよ?不名誉なわけないじゃん!!」


「う、うん...」


「それに男の—」


「「失礼します!!」」


ん?なんか妙にハモッた声だな...誰だろう?


「皆さん初めまして、私は佐々木 楓(ささき かえで)で、隣にいるのが」


「初めまして!!妹の佐々木 杏花(ささき きょうか)です!!」


「初めまして~椎名 雪だよ~」


「初めまして、氷川 奏です。」


「も~う奏先輩堅いよ~?もっとフランクにいこうよ~」


「でも初めて会う人だし、やっぱり一番最初は肝心でしょ?」


「ん~まぁ確かに最初の印象って大事だよね~」


「私たちはもっと皆と仲良くしたいって思ってるよ!!」

ガチャリ――


誰か入ってきたな...僕も入れて4人いるから3期生はこれで全員の筈だけど...


「もう全員揃ってるか?そろそろ配信の説明がしたいんだが...」


なあんだパパんか


「「「あの...どちら様ですか...?」」」


「え?」


「この人は副社長の篝さんだよ?」


「あ...あぁ、今紹介されたFree Life副社長の氷川 篝だ、確かに奏以外に会うのは

初めてだったな」


「氷川...?」


「あの...失礼な事をお聞きしますが...もしかしてお二人はご家族

だったりしますか?」


「そ...そうだが...」


「じゃあ、親子二人でVtuberやってるってこと!?」


「そうだよ...?」


「「「ええええええ!?」」」


そんなに驚くことかな...やっぱり


「ま...まぁとりあえず今日の配信の流れを解説するぞ?」


「は...はい...」


「まず、俺が主に運営しているFree Life公式チャンネルで、ん...そうだな...

雪からで、そのあと楓と杏花、最後に奏の順番で自己紹介をしてもらう。」


「初手から私か~おっけ~い」


僕は最後か、最初も緊張するけど最後も〆って感じがして緊張するよね。


「この順番ってなんか意味あるの?」


「ん?いんや?特に意味はないぞ?俺が今なんとな~く決めただけだぞ?」


「は?」


おい今このパパん何て言った?何となく?


「Вы не сошли с ума? Эй, ты глупый? Значит, вы в порядке как член общества?(馬鹿なの?ねぇ馬鹿なの?それで

社会人として大丈夫?)」


「ん~と、とりあえず奏は他の人からの印象を崩す事無く俺を罵倒するの

やめようか?」


うん、ロシア語って便利!!大体の人わかんないからね!!


「え~っと今のって何語ですか?」


「ロシア語だよ?」


「な~んでお二人はさも当たり前かのようにロシア語理解してるんですかね~」


―10分後―


「よし!!そろそろ時間だ!!皆もう準備はいいよな?」


「うん!僕はもうできてるよ!」



「私も~」


「私たちもできています」


「よし、じゃあライブ開始だ!!」


カチッ


「どうも~公式チャンネル運営担当ふくしゃちょーだよ~」


・待ってた!!

・ついに3期生登場だぁぁぁぁぁ!!

・自己紹介はよはよ!!

・この日のために生まれてきた

・一人大袈裟過ぎて草

・でも実際そうなんよなぁ

・きちゃぁぁぁぁぁぁ!!


「はい、コメント欄でも言われている通り3期生の自己紹介となっております」


・うぇぇぇぇぇぇぇぇい!!

・宴じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

・おっさんの話とかどうでもいいからはよー!!


「お、おっさ...っ...!?んんっ、もう皆待ちきれないみたいなので早速自己紹介してもらいましょう」


明らかにショック受けてたよね..父さんがそう言うと黒髪黒目で髪が長めな女の子のアバターが出てきた。結構椎名さんに似てるんだね


「は~い皆さん初めまして~今日からFree Life3期生になった、

高瀬 雅(たかせ みやび)だよ~、よろしく~」


「私は基本的に雑談とか歌枠配信とかやろうと思ってるよ~」


・ファッ!?

・何この声...

・この声の歌枠とかヤバそう

・あれ、俺あと余命何日?


「私が歌ってる時に死んじゃったら私が死因になっちゃうからやめてね~」


・わかった

・わかった

・頑張る

・解釈一致過ぎて草


―楓、杏花の番―


「「皆さん!!初めまして!!」」


・あれ?声が二つ...

・キマシテええんか!?

奈々のアバターは深い紫色の髪の碧眼で落ち着いた印象だけど

寧々は対象的に金髪にオレンジ色の瞳の明るい雰囲気が凄い

アバターだね


「姉妹でVtuberをやることになった霧山 奈々(きりやま なな)と」


「霧山 寧々(きりやま ねね)だよ!!」


・キマシタワー

・キマシタワー

・おほー(*/ω\*)

・姉妹Vとか尊すぎる...

・分かりみが深い

・ここにはちょっとヤバめのオタク君しかいないんか?

・君達さぁ...


「私達は二人でゲームしたり、おしゃべりしたりしたいと思ってるよ!!」

「私と寧々は二人で一つ...一心同体よ」


・奈々ちゃんの姉妹愛が深すぎる

・マリアナ海溝よりも深い

・↑深すぎて草

・でもそれぐらい愛が深そう


そして、遂に僕の番...

僕はパソコンのファイルに保存されている銀髪碧眼のパーカーを羽織った

少女のアバターを出す


「こんにちは!!そして初めまして!!白宵 渚(しらよい なぎさ)だよっ!!」




















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Vtuber始めたら男なのに美少女アバターでした... 燕の子安貝 @wafflesan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ