第3話 本社へ行こう!!

僕は今日Free Lifeの本社へ行くことにした。

理由は、僕達3期生の初配信についてだ。Free Lifeのライバーは全員

本社にあるFree Life公式アカウントで最初の自己紹介動画を上げるんだ。

「確か此処だったよね?」

僕は記載されていた住所に着き、社内に入った。

「すいません、此処がFree Lifeの本社で合っていますか?」

「その通りですが、3期生の方ですか?」

「はい、そうです。」

「では名簿で確認させていただきますが、念のためお名前と

身分証の提示をお願いします。」

「名前は氷川 奏、身分証は学生証でもいいですか?」

「はい、結構ですよ。」

「ではこれでお願いします。」

—約10分後―

「確認がとれました。担当マネージャーの方をお連れしますので、

案内させますね?」

「はい、よろしくお願いします!!」

—またまた約10分後―

「先日も自己紹介させていただきましたが、マネージャーの佐藤です、

では今から副社長室にご案内します。」

ん、副社長室?社長室じゃあなくて?こういうのって社長室に行って挨拶とか

するんじゃないの?そう思い、僕はそのまま口にする

「あの、社長室じゃないんですか?こういうのは普通社長室に行って挨拶したり

するものだと思っていたのですが...」

「はい、基本的にはそうなのですが氷川さんだけは副社長が会って話をしたいと

仰っておりまして...」

んえ?どういうこと?なんで副社長さんがぼくに会いたがってるの?

疑問に思っていると、副社長室と表示されたプレートが付けられている扉に着いた。

—副社長室―

「失礼します...」

僕は慎重に、副社長室に入室した。そして、そこで座っていたのは...

「やあ奏、久しぶりだな」

「え?」

そこにいたのは、よく見知った顔...だが《仕事の都合》という理由でまともに顔を合わせたことがなかった、氷川 篝(ひかわ かがり)――実の父だった。

「父さん?な...なんで父さんが此処に?」

「それは俺が此処の副社長だからに決まっているだろう?そんなことより何時振りだ?奏は会うのは...愛莉(えり)と離婚した時以来か?」

「それは...そう...だけど...」

「あの~もしかしてお二人って親子...ですか?」

「「そうですよ?」」

「アッハイッ」

不意にマネージャーさんに話しかけられて冷静になった僕は、

今日の本題に入ることにした

「ねえ、そろそろ本題に入りたいんだけど...」

「ああ、そうだったな、今日奏に来てもらったのは...お前に会いたかったからだ!!」

「は?」

「嘘嘘、冗談だって!ジャストキディング!!今日来てもらったのは初配信の件、

それと《社員寮》についてだ」

社員寮?なんだそれ?Free Lifeってそんなのあったっけ?聞いたことないな

「社員寮なんてあるの?」

「ああ、一般的公表していないんだが、希望したFree Lifeに入社した社員、

ライバーが住むことになっている、いわばFree Life専用のマンション

みたいなものだ。」

へー、そんなものがあったんだ、住みたいけど寮費とか高そうだしなぁ...

「奏は住みたいか?」

「住みたいけど、僕の資金じゃ無理だと思う。」

「住みたいならいいんだ、なんせここは寮費がないからな。」

—―え?寮費がない?どういうこと?

「正確には給料から天引きされてる感じだな、ちなみに此処の給料、

ライバーの場合は基本給+送られてきたスーパーチャットの70%、スーパーチャットの残りの30%は会社の資金...企画とかそういうのに使われて、その

基本給+スパチャ70%から寮費分が払われてる。」

「へーそうなんだ、ちなみに間取りは?」

「3LDKで全部屋トイレ浴室付き、凄いだろ?」

「いや、本当に凄いね!?なんでそんなに広いの!?」

「まあ、奮発したからな...」

「それでもさ!会社傾かないの!?」

「ライバー達の稼ぎが凄いからな、正直傷一つ付かなかった、俺もビックリだ。」

「やっぱり凄いんだね...ライバーさん達...」

「ああ...」

「ま、まあとにかく!!社員寮にお引越しすることにするよ!」

「よし、じゃあ早速引っ越しの準備をするかぁ!」

「え、でも明日学校――」

「そんなの休めばいいだルォォォ!?」

「はぁぁぁぁぁぁ!?」

話を遮られた僕は、そのまま抵抗できる筈もなくされるがまま引っ越しの

準備をするのだった。

—―2週間後――

学校とご近所さんへの報告、新しい通学路の確保、荷詰め作業、

その他もろもろを終わらせ、社員寮での荷ほどきをしていた。

「この荷物はここにおいて、これはここにしようかな?」

荷ほどきが終わりかけた頃、インターホンが鳴った

「はーい!!」

とりあえず返事をしておく、誰が来たんだろ?

「おはよう奏、朝からパパんが手伝いに来たぞ!」

「わ~い!パパん!!手伝いに来てくれたの!?...ってなるわけないでしょ!!

それにもうほとんど終わってるし!!」

「まあ、冗談だけどな?今日来たのはFree Life公式チャンネルでやる

自己紹介動画の日程が決まってな?それを伝えに来たんだ」

「へ~ちなみに何時?」

「今週末に本社の会議室Aで夜9:00~10:30までの配信を予定している。

奏はもう、アバターの名前とキャラクターの方向性、全部決まってたよな?」

「うん、全部決まってるよ?後は本社からの通知を待つだけだったし...」

「そうか、ならいいんだ、お前の自己紹介楽しみにしてるぞ?」

「ふっ任せてよ...パパん」

「最後に雰囲気ぶち壊すの草」


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