第27話 アランくんの告白!!

 俺達も村に戻る事にした。セダンさんの提案で、門以外の場所の壁は残しておいてはどうかと言われたので、それも村の偉いさんとの話合いでどうするか決める事にした。


 取り敢えずギルドに来た俺達はロマーノさんに呼ばれて応接室に連れて行かれた。そこにはロマーノさんと村長さん、そして村の門番長さんが待っていた。三人は俺達に頭を下げる。


「このたびは村を救っていただき、有難うございます」


 村長さんが俺達にそう言う。俺達はセダンさんに受け答えを任せた。


「いやいや、危険をかえりみず我々を迎え入れてくれたこの村に恩返しするのは当然ですよ。あと相談なんですが、村長。今回、防壁を出してくれたミナさんが、門以外の場所の防壁を残してくれるそうなんですが、入りますか?」


「な、何と! ミナ様が居なくなっても防壁は無くならないのですか?」


 この質問には流石にミナが答えた。


「はい、私の意思で消さない限りは私が居なくなっても、防壁は残ります。もし、今回のような事があった時に、残しておけば門の所だけ注意すれば良い事になりますから、残しておいたらどうかと思って提案しました。どうします?」


「ああ、有り難いです。是非とも残していただきたいです。よろしくお願いします」


 村長と門番長さんが二人揃ってミナに頭を下げた。それからロマーノさんとの交渉が始まった。

 そう、ゴールデンボタンボアを何頭、村とギルドに卸してくれるかと聞かれたのだ。 

 

 俺は暗算極みを発動した。それにより導き出された解答は、村に三頭ギルドに五頭だった。

 俺は自分の技能を信じてロマーノさんと村長さんにそう言ってみた。


「おお、三頭も!? 構わないのですか!」


「オイオイ、たった五頭かよ。もう少し出してくれよ。相場よりも少し高く買うから」


 最初は村長さん。後がロマーノさん。そこで俺は聞いてみた。


「相場って大体いくらぐらいですか?」

 

 それに素直に答えてくれたのは門番長さんだった。


「そうだな、平均的なサイズのモノで一キロが金貨ニ枚だ。平均的なサイズってのは、体長一メートル八十で体高一メートル五十だな。それよりも大きな個体だと、十センチごとに金貨一枚が加算される。重さじゃなく、長さになってるのは計算が簡単だからだ。この村に卸してくれる三頭は出来たら平均的なサイズのモノが有り難いな。一頭で金貨八百枚で、三頭で二千四百枚支払う。勿論、即金だ。この村にはそれだけ出しても冬を越せるだけの金はあるからな」

 

 村長さんもウンウンと頷いているから本当の話なんだろう。それを少し苦い顔で見るロマーノさん。


「ったく、馬鹿正直に言いやがって。まあ、いい。さっきも言ったが頭数は増やせないか?」

 

 俺にそう聞いてきたから、もう一度暗算極みを発動した。そしたら、出すだけロマーノさんが食べる分が増えるだけだと…… うん、ここは丁重にお断りだな。


 俺はロマーノさんに無理ですとアッサリ言って話を打ち切った。その代わり、村に卸す三頭もギルドに卸す五頭も平均的なサイズよりも大きな個体をだすけど、一頭につき金貨七百枚でいいと言った。ここでこちら側も下手に出たら、これ以上はロマーノさんも言い辛いだろうからな。

 そして、コッソリとアカネちゃんのギルド登録を頼んだ。身分証明があればアカネちゃんもこの世界で動きやすくなるからね。ロマーノさんはアカネちゃんのレベルを確認して驚愕してたよ。高級冒険者(金)スタートで登録してくれたし。高級冒険者まではギルドマスターの裁量で決められるそうだから、この世界の冒険者ギルドはラノベで読んでたギルドよりは緩いようだ。特級だけは何か複雑な手続きがいるそうだけどね。


 それからギルドの解体施設に行って合計八頭を引き渡した。村の分もギルドに解体を依頼するからと頼まれたからだ。

 お金は村もギルドも即金で支払ってくれたよ。一頭金貨七百枚、八頭で五千六百枚だ。それを、俺、ミナ、アカネちゃん、アラン、セダンさん、ユリアさん、アメリアちゃんの七人で分けた。一人八百枚なり〜。

 アメリアちゃんは固辞しようとしたけど、断固として受け取って貰った。この先、どうなるか分からないからね。そしたら、アメリアちゃんが俺達一人一人にカバンをくれた。

 魔術鞄だそうだ。本人認証付だから、他人に奪われても中身は取られない優れ物だ。俺は守袋があるし、ミナは収納があるけど、それを誤魔化すのに利用できるから有難く頂戴した。

 アメリアちゃんは魔術道具師の職能らしい。


 そうしてやっと宿に戻り、みんながアランの部屋に集合した。一番広いからね。そこで今回でみんなのレベルを報告する。

 先ずはセダンさん。レベル28になったそうだ。


「フフフ、まあ僕が最高位なのは当たり前の事だけどね。何せ僕は【知】属性の魔導師なんだから」


 うん、後で泣かないで下さいね。そしてユリアさん。


「私はレベル24になったよ。高級冒険者(銀)から(白銀)に上がった」


 おお、流石だ。必要な事だけ言うのはユリアさんらしい。


「俺はレベル21になった。今は高級冒険者(銅)に上がっている。それからアカネ殿にお聞きしたいのだが、今誰か思い人は居られるのか?」  


 報告序にアランが動きを見せた。頑張れ、アラン。俺は応援しているぞ。


「はい? わ、私ですか。私は誰とも付き合ってませんけど……」


「そ、そうか! それならば是非とも俺、いや私と結婚を前提とした付合いをお願いしたいのだが、ダメだろうか?」


 オイ、固いよ、アラン。もう少しこうスマートにだな…… と俺は思ったがアカネちゃんにはドストライクだったようで


「あ、あの、私はこんな地味で何の取り柄も無いですけど、そんな私で良ければよろしくお願いします……」


 オーケーしちゃったよ。本気マジか!

 何故かミナが嬉しそうにウンウンと頷いているから突っ込むのは止めた。


 それから、何故かアメリアちゃんが怒ったようにマロを抱きながら言った。


「お兄様、伴侶を決めるのはまだ早いのではないのですか? それに、アカネさんよりも低いレベルでなんて」


 ああ、コレはあれだな。大好きなお兄様が取られると感じた妹の嫉妬だな。そこで俺はアメリアちゃんに言った。


「いやー、アメリアちゃん。良かったね。こんないいお姉様が出来て」


「なっ!? 何を言ってるのかしら、ナゾウ様は! 私はお姉様なんて……」


「アメリアちゃん、私が姉になるのはイヤ? それならアランくん、さっきの話は無かった事に……」


 アカネちゃんがそう言うと、


「何を言ってるの! お兄様が無い勇気を振り絞って告白したのに、アカネさんは受けたのだから、そんな事で断るなんてダメですわ!」


 うん、ツンデレとはこういう感じなのかな? 分からないけど。俺はニコニコしながら見ていた。アランは実の妹に【無い勇気】と言われて落ち込んでいたけど。

 そうして、話は取り敢えずまとまり俺達のレベルを発表する事に。


「あー、先ずは先にセダンさんに謝っておきます。ゴメンナサイ」


「ん? ナゾウくん、何を謝るのかな?」


「俺とミナ、それにアカネちゃんはレベル50です。それと、俺とミナは高級冒険者(黒金)になりました。アカネちゃんはギルドに登録してなかったので、先程ロマーノさんに頼んで登録してもらいましたが、最初から高級冒険者(金)でスタートだそうです」


「なっ! 何だってーーっ!!」


 アラン、セダンさん、ユリアさんの声が部屋に響いた。

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