第23話 制覇完了と女子二人

 えっと、コレで制覇した事になるのかな? 俺達は呆気にとられていたけど、ソコに謎の声が響いた。


『ダンジョンマスターの敗北を確認しました。ナゾウ、ミナの制覇を確認。二人には経験値が送られます。現在送付中…… 送付完了。二人のレベルが50になった事を確認…… 確認完了です。尚、このダンジョンは普通の洞窟として残ります。崩れる事はありませんので安心して下さい。そして、二人にお願いがあります。小屋の中にもうもなく女性が二人送られて来ます。その二人も一緒に連れて外に出ていただけますか?』


 突然聞こえた声にキョロキョロしていた俺とミナだが、そう言われて戸惑った。


『送られてくる二人のうち一人はアカネという名前です。もう一人は王族で第二王女です。頼めませんか?』


「えっ、アカネちゃんが。勿論、私達が一緒に連れて出ます!」


 ミナがそう返事をした。俺も第二王女だったらアランの妹だろうから送ってやらないとダメだなと思い、


「分かった、第二王女も一緒に連れ出すよ」 


 そう謎の声に返事をした。


『助かります。アカネには私から特典を付与しておきますので、ご安心下さい。それでは二人が送られてくるまで、あと暫くお待ち下さい』


 そう言って声は聞こえなくなった。俺とミナは顔を見合わせて


「何だったんだろうな、あの声?」


「本当だね。謎の声だけどダンジョンを制覇したら聞こえるんだから、神様の声なのかな?」


 そんな会話を始めた。けれども直ぐに、


「ねえ、ナゾウ…… レベル50だって。凄いよね、一気に上がったね」


 とミナが興奮して言い、俺も


「ああ、とんでもなく上がったよな。一体どんな技能や能力値になったのか……」


 興奮して返事をした。そして、とうとう我慢できずに、


「確かめよう!」


 と二人で能力値の確認をする事にした。



名前 ナゾウ(旦 那三) 男 十七歳

レベル 50

職能 商人あきんど

高級冒険者(黒金)

力  368

技  212

早  350

攻撃 (651+38)  防御 (465+36)

武器 雷山槍

防具 冒険者の服 鉄の胸当て 革の手甲 脛当て

職能補助技能

 水源探知

 危険察知(効果範囲は自身の半径一、五キロ)

 聞耳(一キロ離れた小声も聞き取れる)

 守袋(人にお金を奪われないようにする為の袋)

 危機管理(初めて訪れた場所で自動で危険察知を発動する)

 暗算極み(あらゆる計算を瞬時に行う)

 商人あきんどの勘(お金にまつわる勘が非常に鋭い)

技能スキル

 【きょう・ごうごうごう

剛力  自身と任意の相手の力を5倍にする

豪健  自身と任意の相手をあらゆる障害から護る

剛堅  自身と任意の相手の防御を5倍にする

強壮剤 健康になる薬を出す

剛壁  壁の強度を極端に上げる

強陣  拠点強度を二倍に上げる

剛性  自身と任意の相手の武防具を強化する

豪商  凄い商人あきんど

豪農  凄い農家

豪邸  凄い家



名前 ミナ(奥 三那) 女 十七歳

レベル 50

職能 家政の極み

高級冒険者(黒金)

力  231

技  369

早  240

攻撃 (588+42)  防御 (420+40)

武器 霞斬

防具 冒険者の服 革の胸当て 手甲 脛当て

職能補助技能

 調理(食材を見たら料理方法が分かる)

 衛生(服や体、体内、飲食品の汚染を無くす)

 裁縫(素材があれば服を縫える)

 着火(指先から小さな火種を出せる)

 上水(一日に二十リットルの水を出せる)

 加熱(手で覆った物を加熱出来る)

 醸造(素材があれば収納内で醸造可能)

 家政(ありとあらゆる家事を時短で行える)

技能スキル

 【野宿】

場所確保 安全な場所を知る事が出来る

トイレ  トイレを創造出来る

防壁   土や木を利用して壁を創造出来る

収納   自分だけの収納場所を確保

風呂   日本の風呂をどこでも作成可能

拠点確定 範囲指定で拠点を確定、強化出来る

収納職人 収納内に職人がいる


 俺とミナは詳細は後から調べる事にした。何故なら小屋が外から見ても分かるぐらいに中から光が漏れたからだ。扉を開けてみたら中にはクラスメイトだったアカネさんが倒れていた。

 ミナが倒れているアカネさんに駆け寄り、抱き上げる。レベルが上がったミナは力も強くなり、抱えあげるのに何の苦労もしてないようだ。


 それから小屋の外に出てアカネさんに衛生をかけたミナは壁を出してその中にそっとアカネさんを横たえた。


「アカネちゃん、こんなに痩せてしまって……」


 俺は疑問に思ってミナに聞いた。


「ミナはアカネさんと親しかったの?」


 俺の問いかけにミナがポツポツと話しだした。


「学校ではお互いに陰キャだったし、中学も違ってたから、そんなに話もした事は無かったんだけど…… 実は親しくなったのはナゾウと付き合い出してからなの。町中で偶然出会った時にアカネちゃんも同じラノベを手に持っていてね。でもお互いにイジメられやすい雰囲気だから、学校では親しくないフリをしようってアカネちゃんが言って…… 実際に私と同じでアカネちゃんも中学の時にイジメられていたらしくて…… その人達は今も同じクラスにいて、みんなにバレないようにコソコソと嫌がらせはされてるって言ってたの」


「そうか…… でも、そいつらから逃げ出せたって事なのかな?」


「それは分からないけど、私はまた会えて良かったと思ってる」


「そうだな、ミナの友達なら俺の友達でもある。アカネさんが気がついたら詳しく話を聞いてみよう」


 俺の言葉にうんとミナが返事をした時にまた小屋が光った。俺はミナにアカネさんを見ていてと言って、小屋に向かい扉を開けた。そこには年下の少し豪華な感じのドレスを着た女の子が立っていた。


「貴方は誰ですか? それにココは何処なんでしょう? 知っていたら教えて下さいますか? それと、アランという私と顔立ちが似た男性を知りませんか?」


 俺の顔を見るなり矢継ぎ早に質問された。俺は


「アランの妹の第二王女様で間違いない?」


 と、逆に質問した。


「お兄様をご存知なの? そうです、私がカイール王国の第二王女で、アメリアといいます。もしも構わなければお兄様の元まで連れて行ってくれませんか?」


「初対面の俺をそんなに直ぐに信用しても大丈夫かい?」


 俺はこの子のすっかりと俺を信用しているような態度に、誰にでもそんな態度を取るのかと不安に思い、そう聞いてみた。


「アラ? 心配して下さってるのね。有難う、でも大丈夫です。私のスキルは善悪判断ですから、悪い人は直ぐに分かりますから。貴方からはぜんしか表示されませんし、口調からお兄様と親しいと感じましたから」


 スキルかぁ。確かにそれなら安心出来るな。


「分かった、でも少し待ってくれないかな。もう一人外に連れ出したい人がいるけど気を失ってるんだ。その人が気がついたら一緒に出よう」


「グーラムに騙されて私より先に転移させられた勇者様のお一人ですね。私は自分の意志で転移しましたけど、その方はグーラムの魔法で拘束されてましたから」


 それから俺はミナとアカネさんが待つ壁までアメリアちゃんを案内して、アカネさんが気がつくまでの間、アメリアちゃんの話を聞く事にした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る