第20話 三階層に突入だ

 そして、二階層に着いた時にマナガルムから提案があった。


『既にダンジョンに入ってから三時間は経った。この階段のすぐ側ならばモンスターは出てこないようになっている。暫し休息をとるのが良いと我は思うぞ』


 うん、それもそうだな。


「ミナ、少し休憩しよう」


「うん、ナゾウ。トイレと壁を作るね」


 少し離れた場所にミナはトイレと壁を作った。そして俺は黙ってマナガルムの耳を塞いだ。


『心配せずとも我は聞こうと思わないものは聞かずに済むのだぞ。お主のスキルと同じでな』


 うん、神獣だって言うのは本当かも知れないな。俺はそう思いながらもミナがトイレから出てくるまで耳を塞いでおいた。


「アレ? 何してるの、ナゾウ」


「ハッハッハ、ミナ。いやマナガルムとたわむれてただけだよ。俺もトイレに行っておくよ」


 出てきたミナに問われた俺は誤魔化す為にトイレに逃げた。まあ、小用もしたかったしね。


 トイレから出たらマナガルムからの講義が始まった。


『今回、このダンジョンでは罠のたぐいは無いようだが、違うダンジョンでは道の途中などで罠がはられている事もある。聞けばナゾウの技能は危険察知だと言うから、それに反応するかも知れない。けれども、希にスキルに反応しない罠もあるから注意が必要だ。転移の魔方陣などはその一つになる。見えない魔方陣に乗った瞬間に発動する罠なので、乗るまでは危険では無いために、スキルが反応しない場合があるのだ。なので、もしも小部屋等に入る場合は、身代りを用意するのも一つの手だ。転移の魔方陣は大体の場合、重さに反応するので凡そ十五キロ程の重さの要らない物を用意しておくと良いぞ』


 とか、ダンジョンの罠の対処の仕方を教えてくれた。そして、マナガルムが言うにはこの階層にいるのはナイトオークとジャベリンゴブリン、それにハンマーコボルトという三種類のモンスターらしい。この階層をしらみ潰しにして全てのモンスターを倒せば、レベル10にはなるだろうとの事だ。

 当初の俺とミナの目標はレベル11だったけど、どうせなら更に上を目指したいので、五階層までは絶対に行くと決めた。ダンジョン制覇をしたら、レベルが飛躍的に上がるそうだからな。


「そう言えば、マナガルムは神獣らしいけど、レベルってあるのか?」


『勿論、地上で生活して身体を持ったならば、モンスター、人、聖獣、魔獣、神獣、みんな関係なくレベルがあるぞ。我は血肉を持って既に三百八十年になるから現在のレベルは4,276だな。まあ、人ではこのレベルに到達するのは無理なのだが。人として最高到達レベルは確かカイール王国の初代国王であったか…… レベル375であったと思うぞ』


「99がカンストじゃないみたいだな、ミナ」


「そうだね、ナゾウ。マナさん、教えて下さい。レベル375だとどのくらい強いんですか?」


『そうじゃな…… レベル15ぐらい迄の竜と互角と言ったところだの。それでも人としてはかなりの強さじゃぞ』


 レベル300超えてもレベル10代前半の竜と互角って、強いのか弱いのか判断が難しいな。


『そんなに心配せずとも、竜は人を襲う事はないぞ。逆鱗に触れた場合は別だが、理由なく襲う事はない。邪竜化した竜もカイール王国の初代国王が倒したしの。地上にいる人を襲うモンスターの最強種は北に居る吸血鬼かの? 多分じゃが。アヤツは現在不死者を集めてその勢力を広げようとしておるが、夜しか活動できんので遅々として進んでおらぬ。まあ、それでもアヤツを倒すには最低でもレベル400を超えねば無理だろうがな』


 とか話をしていたら、そろそろ行きましょうとミナが言ったので片付けをして探索を開始した。


 そして、しらみ潰しにモンスターを倒して行き、俺とミナはレベルが12になっていた。マナガルムの予想よりも少し上に行ったよ。そして、三階層への階段前で、


『良いか、ここからはお主ら二人で進むようになる。今までに教えた事を実践すれば五階層にもたどり着ける筈じゃ。そして、制覇したならレベルも大きく上がるだろう。我は巣穴で待っておる故に、確りと鍛えて戻ってくるのじゃ』


 マナガルムがそう激を飛ばしてくれた。


「ああ、ここまで有難う。教えてくれた事を一つ一つ注意して実践して、慎重に行動するよ」


「マナさん、戻ったらまたお礼のお料理を作りますから、楽しみに待ってて下さいね」


『ナニッ! また作ってくれるのか! ならば少しだけ我の加護を二人に与えよう。これで我の見立てで五日だったのが三日で制覇できる筈じゃ! いや、頑張れば二日か…… とにかく頑張って早く戻るのじゃ!』


 ヨダレ垂らしながら言われてもなあ。マナガルムは最後に食欲全開で俺達二人を送り出してくれた。

 俺とミナは三階層に降りた。そして、先ずは寝る為の拠点を階段のすぐ側に作った。三階層を攻略するのは明日からに決めてある。今日は今から能力値の確認をするのだ。さあ、どうなったかな、楽しみだ。



名前 ナゾウ(旦 那三) 男 十七歳

レベル 12

職能 奉公人

中級冒険者(銀)

力  89

技  58

早  71

攻撃 (152+38)  防御 (109+36)

武器 雷山槍

防具 冒険者の服 鉄の胸当て 革の手甲 脛当て

職能補助技能

 水源探知

 危険察知(効果範囲は自身の半径三百二十メートル)

 聞耳(三百メートル離れた小声も聞き取れる)

 守袋(人にお金を奪われないようにする為の袋)

 危機管理(初めて訪れた場所で自動で危険察知を発動する)

技能スキル

 【きょう・ごうごう

剛力  自身と任意の相手の力を三倍にする

剛健  自身と任意の相手を逞しく健やかにする

強固  自身と任意の相手の防御を1.5倍にする

強壮剤 健康になる薬を出す

剛壁  壁の強度を極端に上げる

強陣  拠点強度を二倍に上げる



名前 ミナ(奥 三那) 女 十七歳

レベル 12

職能 家事職人(中級)

中級冒険者(銀)

力  62

技  88

早  50

攻撃 (140+42)  防御 (100+40)

武器 霞斬

防具 冒険者の服 革の胸当て 手甲 脛当て

職能補助技能

 料理(食材を見たら料理方法が分かる)

 衛生(服や体、体内、飲食品の汚染を無くす)

 裁縫(素材があれば服を縫える)

 着火(指先から小さな火種を出せる)

 上水(一日に二十リットルの水を出せる)

 加熱(手で覆った物を加熱出来る)

 醸造(素材があれば収納内で醸造可能)

技能スキル

 【野宿】

場所確保 安全な場所を知る事が出来る

トイレ  トイレを創造出来る

防壁   土や木を利用して壁を創造出来る

収納   自分だけの収納場所を確保

風呂   日本の風呂をどこでも作成可能

拠点認定 範囲指定で拠点を確定出来る


 ミナと二人で思ったよ。俺達かなり強くなってないですか?





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