第15話 技能について説明した

 宿屋に戻ると拗ねてるセダンさんと困り果てたユリアさんがアランの部屋で待っていた。


「二人ともやっと帰ってきたか。この馬鹿にできる範囲で構わないから、二人のスキルについて話してやってくれないか、頼む」


 あのユリアさんが俺とミナに頭を下げて頼んできた。よっぽど困ったんだろうな。それについてアランが説明してくれた。


「セダンは頭が良くて、知的好奇心の固まりで知りたいとなったら強引に聞き出すぐらいなんだが、二人が全く反応せずに無視を貫いたから、聞き出す事も出来ずに珍しく拗ねてしまったんだ。普段なら満足するまで根掘り葉掘り聞くのだが、無視されたのは初めてだからな。大抵の人はセダンの話術に何らかの反応を示すから」


 そこまで聞いて俺は言った。


「セダンさん、あの外の場所では第一王女の間者が聞き耳をたてている可能性もあったから。俺もミナももうあの王女には関わりたくないから、安全だと思える場所じゃなければ話はしないと決めていたんだ」


 俺の言葉にハッとした顔をしたセダンさん。そして、俺や他のみんなに謝った。


「いや、コレは僕が悪かったようだ。済まない。その可能性が頭から飛んでしまっていたよ……」


 いやまあ、そこまで落ち込む事でもないけどね。そして、俺は先ず三人に聞いてみた。


「みんなは自分の能力値を確認する事は出来るのかな?」


 俺は異世界アルアルで、現地の人はステータスを見れないかもと思いながら聞いた。そしたら、


「ステータスの確認は俺達も出来るよ、ナゾウ」


 アランがそう教えてくれた。あ、出来るのね。


「教えれる範囲で構わないからアランのステータスを教えてくれないか?」


 俺がそう言うとアランは、

 

「明日からナゾウとミナに護衛をしてもらうんだから、二人には包み隠さずに見せるよ」


 そう言ってアランはステータス開示と言葉にした。アランのステータスは、



名前 アラン・カイール 男 十六歳

レベル 1

職能 魔鳳まほう戦士

低級冒険者(鉄)

力  11

技  15

早  10

魔  80

攻撃 (25+18)  防御 (18+8)

武器 ショートソード 防具 冒険者の服


スキル技能

 【魔力収集】レベル1

 減った魔力を自動で収集する。一時間に2程度。


 だった。

 うーん、俺達のと違うなぁ。俺とミナには【魔】の数値は無いのだけど…… ミナも不思議そうに見ている。そこでユリアさんが俺達に言った。 


「私も見せよう。二人とは仲間になるのだから」



名前 ユリア・バトランド 女 十九歳

レベル 12

職能 守護騎士

高級冒険者(銀)

力 50

技 62

早 46

魔 20

攻撃 (110+50) 防御 (79+60)

武器 騎士剣  防具 騎士鎧


スキル技能

 【絶対守護】レベル5(MAX)

 一度だけ、己の命をかけて対象者を守る事が出来る。

 【光剣】レベル3

 自分の武器から光の剣が伸びて敵を切り裂く。魔力を5使用する。


 うーん、やっぱりユリアさんのも俺達のとは違うなあ。けど、ユリアさんはやっぱり強いな。しかも高級冒険者(銀)だって。けれどもレベルの割には数値が低い感じがするけど。そう思いながら俺とミナは期待に目を輝かせているセダンさんの眼差しに耐えきれずに、能力値を見えるようにした。あ、俺とミナにも中級冒険者(銀)の表記が増えてるよ。


 俺がそう思った時に三人が一斉に驚いた!


「な、何だ! コレはっ! 職能の補助技能って何なんだ!?」


 とアラン。


「な、スキルではなく技能だって!? うーん、コレは興味深い!」


 とセダンさん。


「何で二人とも魔の数値が無いんだっ! スキルの使用には何を消費しているんだ!?」


 とユリアさんの声が部屋に響いた。ああ、やっぱり補助技能には驚くよな、アラン。それに、スキルじゃなくて技能って表記されてるのに気がつくなんてさすがだね、セダンさん。ユリアさん、それは俺もミナも知りたいんです。教えて下さい。


 そこでセダンさんが職能補助技能について聞いてきた。


「この補助技能って僕は初見なんだけど、レベル1からあったのかい?」


「セダンさん、レベル1からあったよ。そして、レベルが上がると増えたんだ。それと、技能も増えたり進化したりしたよ」


「なるほど、スキルにレベルが無いから僕達にしてみれば不思議な感じなんだけど、コレは異世界からの客人まろうどの特典なのかな? 二人以外のステータスも見てみたいなぁ。それと、技能を使用した時に何か消費してる感覚はあるのかな?」


 更なるセダンさんの質問に俺とミナが素直に答えた。


「俺は強壮剤を毎日作ってるけど、気力が少し下がる気がしているよ」


「私は野営の時に壁を出した後は眠くなるのが早いので、体が疲れている感覚があります」


 俺とミナの返事にセダンさんは考え込む。


「うーん、かたや気力でかたや体力の感じか…… これも他の人のを知りたいなぁ。誰かもう一人でいいからココに来ないかな」


 いや、もう誰も来ないと思うけど。その時の俺はそう思ってたけどね。

 それから一つ一つ俺とミナの技能について説明をした。そして、明日からアランのレベルを上げるんだけど、ミナの仮説がアラン現地人にも適用されるのか検証する事になった。そして、俺とミナもそのついでにレベルアップを目指す。

 セダンさん、ユリアさんは俺とミナがレベルアップをしている時はアランの護衛をするという事で話がまとまった。勿論、俺が三人に強力や強固をかけてみる事も明日村の外で試す事も。

 強壮は既に三人にかけた。コレも明日の朝に効果が残っているか確認してもらう。効果時間の指定はしなかったからね。ミナ以外でも永続効果があるのか俺も知りたいし。


 そして、部屋に戻った俺とミナは清潔をかけてもらって、また仲良く一つのベッドで寝る事になった。俺は明日からの事を必死に考えて欲望を抑え込む。そんな時にミナが少し震えた小声で

 

「あのね、ナゾウ。私はいつでもいいからね。ナゾウが我慢出来なくなったらちゃんとそう言ってね」


 と勇気を出して言ってくれたので、俺は優しくミナを抱きしめて


「ミナ、有難う」


 と礼を言って初めてキスを交した。今日はここまでで我慢だと心に強く俺は思いながら、俺達は寝たよ。






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