第9話 (閑話)クラスメイトと王族と
ミナと二人で幸せな旅をしているナゾウ。その頃、王宮に残ったクラスメイト達はその職能やスキルによって、生活を分けられていた。
委員長ことナガイと、野球部男子ことヒサナガは、王女を巡って互いにライバル視していたが、本当は
ナガイには金髪で大人な感じの色気がある巨乳メイドが。ヒサナガには
「今は王族としての帝王学を学ぶ大事な時期ですので」
という第一王女の言葉。それを単純に信じているヒサナガだった。そんな二人の職能は、ナガイが賢者で全魔法適正。ヒサナガが英雄騎士で全攻撃方法を将来的に獲得する事が分かっていた。そんな優秀な職能とスキルを持つ二人は王宮で最高の待遇を受けていた。
そして、女子でも個室を与えられた者が一人いた。アンラクである。図書委員で、サラサラ黒髪のアンラクは職能が神聖女で、全回復魔法と全浄化魔法をいずれ獲得する事が分かっている為に、個室を与えられた。そして、アンラクの希望で男性ではなく、女性の新人メイド(十三歳〜十五歳)が三人、付けられていた。アンラクはユリを手折るのが好みだった……
そして、ナガイとアンラクはある一点で共通している事があった。ソレは中学の時にミナをイジメていた事だ。高校になり、ミナをいつか自分の性奴隷に調教しようと考えていた事も共通していたので、二人ともミナと付き合い始めたナゾウを憎んでいたのだ。
主要な三人はそれぞれ個室だが、他のクラスメイトはと言うと、三人を除けば残りは男子五人と女子八人がいるが、男子五人はまとめて大部屋。女子八人は四人ずつの大部屋であった。これではプライベートも何もないと抗議したが、王女に
「あら、皆さんもあの二人のように追放されたいんですの?」
と言われ全員が抗議するのをやめた。そして、一人の女生徒が今はイジメられていた。
その女子の名はアカネで、職能は踊り子で技能が剣舞だけだったので、他のみんなよりも弱く訓練でもあまり
二人は訓練以外でもアカネを罵り、また使い走りにしていた。他のみんなはソレを見て見ぬふりをしている。何故なら、ナゾウとミナに次いで陰キャであったアカネは、ナゾウやミナが居なければ格好のイジメの対象になったからだ。
アカネ自身はそんな境遇にかなり嫌気がさして、こんな事なら私もあの二人と一緒に追放されれば良かったと思い悩む日々を送っていた。
そして、王宮で過ごすようになって二週間が過ぎた時に、その日は唐突にやって来た。
普段は部屋に来ない第一王女が四人部屋にやってきて、アカネを呼び出した。
連れて行かれた先にはグーラムと呼ばれていたお爺さんがいて、アカネに部屋の中心に立つようにと言う。
逆らっても無駄だと思ったアカネは素直に部屋の中心に立った。そしてその場所から動けなくなった。
そこに第一王女から言葉をかけられた。
「アカネさん、イジメられていたなんて何で早く教えて下さらなかったの。早く仰って下されば直ぐに助けて差し上げたのに…… でも、安心してくださいね、アカネさん。貴女は今から助かりますわ。覚えておいででしょうか?
その言葉が終わると同時にアカネの足元が光り、アカネの姿が部屋から消えた。
「姫様、あんなのでも多少は戦力になった筈ですが、良かったのですかな?」
「ウフフ、グーラムにしては面白い事を言うわね。あの娘がいきなり送られてきて、弟がどう対処するのか見ものだと思わないかしら。何の罪もないあの娘を、
そう言って笑う第一王女にあわせてグーラムの笑い声も部屋に響いていた。
「それと、先に追放したお二人がもしも生きて旅を続けられたなら、もう辺境の村に着いている頃ですわ。彼らの事も疑心暗鬼になって、弟が殺していたら、なお愉快だと思わない、グーラム。ウフフ」
「いや、流石でございますな。姫様。やはり姫様はこの国に無くてはならない至宝の存在でございます。弟君の所為にして前国王と王太子をヤラれた計画も素晴らしかったですし、わざと弟君を逃して更に絶望を与える為のその手口。グーラムは心より姫様に心酔致します。やはり、【神聖魔女】の職能を授かった姫様は素晴らしい!!」
「ウフフ、褒めても何も出ませんわよ、グーラム。それよりも妹もそろそろ
「グフフ、ソレもよろしいですが、隣国のジジイ国王が後妻にと言ってきておりましたな。コチラの条件を突きつけて、それを守ったら花嫁として出すのも
「まあ、グーラム! ソレはいい案ですわ! 早速条件を整えてあのジジイに手紙を出す手配を頼みますわ。妹も姉である
そうして、二人の会話は終わりを告げ、部屋からは何の物音もしなくなった。それから五分後、部屋の角から静かに第二王女が現れて、
「ふん、お姉様の思い通りになんか、ならないからね! それに最初からお姉様の陰謀には気がついてたわよ。さあ、こんな所からは早く逃げて、お兄様の元に行きましょう。お兄様、早くお会いしたい」
そう言って転移の魔法陣に立ち、転移魔法を起動させて、消えた。
それを第一王女が知るのは翌朝になってからだった。
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