第7話 レベル5で上がったのは

 そして、落ち着いた俺達はそれぞれの能力を確認してみる。ドレドレ、俺の能力はどうなったかな? 凄い技能が増えてたらいいなぁ。



名前 ナゾウ(旦 那三) 男 十七歳

レベル 4→5

職能 丁稚

力  28→31

技  20→21

早  27→30

攻撃 (57+9)  防御 (41+5)

武器 木の棒 防具 異世界の学生服

職能補助技能

 水源探知

 危険察知(効果範囲は自身の半径八十メートル)

 聞耳(十メートル離れた小声も聞き取れる)

 守袋(人にお金を奪われないようにする為の袋)

技能スキル

 【きょう・ごう

強力  自身と任意の相手の力を二倍にする

強壮  自身と任意の相手を健康にする

強固  自身と任意の相手の防御を1.5倍にする

強壮剤 健康になる薬を出す

強壁  壁の強度を上げる


 やった。これまたミナの予想が当たったようだ。技能が進化はしなかったけど増えてるよ。しかも小さいながらも収納に似た技能が補助技能に増えてる! よし、詳細を見てみよう。


 【守袋】

人にお金を奪われないようにする為の袋。おつかいなど、主人から小銭を渡された場合に、人に奪われないようになっている巾着袋。中には小銭や大切な物を入れる事が可能で、入れた本人しか取り出す事はできない。入れられる最大サイズは直径十五センチ、縦横五十センチまでで、容量は無制限だが生物なまものは入れられない。だが、乾き菓子は入るが時間経過は世界と同様に進むので、お菓子は早めに食べる事を推奨。丁稚の特殊技能


✱強壁

既にある壁の強度を上げる。元の強度より1.2~1.8倍に上げる事が可能。倍率は範囲内で指定可能。指定がない場合は最低倍率(1.2倍)でかかる。持続時間は十二時間


 おお、これまた凄い技能が増えたよ。これでポケットの魔石を守袋に移してポケットを空に出来る。ジャラジャラとかなり邪魔だったんだよな。しかし、時間経過があるのか。それは少し残念だけど、それでもこの袋があればかなり安心していられるな。

 そして、強壁だ。どれぐらい強度が上がるのか分からないけど、ミナの壁を強く出来るんなら更に安心して野宿出来るな。まあ、モンスターが出ない場所ではあるけど、言い方を変えれば人には出会う可能性があるからな。いい人ならば問題ないけど、悪い人だと大変だからな。俺はそこでミナの方を見たら、


「ナゾウ、どうだった? 私は技能が増えたよー。それと、壁が防壁に進化したみたい」


「おお、進化したんだ。俺は進化は今回無かったけど、技能は補助技能一つと技能が一つで二つ増えたよ」


「凄い、凄い。先ずは私から言ってもいい!?」


 そう言いながらも言いたくてウズウズしてる様子が分かるので、俺は教えてと頼んだ。


「増えた補助技能が【上水じょうすい】で、一日八リットルの制限はあるけど、水が出せるようになったよ。技能はさっきも言ったけど、【壁】が【防壁】に進化して、石壁が出せるみたい。強さはイノシシの全力突進にも耐えるって説明されてたの。それとね、あったらいいなって思ってたけど、あったよ、ナゾウ。【収納】が! 詳細はね、容量は琵琶湖の面積と深さだって。無制限じゃ無かったのは残念だけど、時間経過がない空間とある空間を設定出来るの! ただ、ラノベ通りに生物せいぶつは入れられないんだって」


 クッ! まさかミナが収納を手にするとは。羨ましいーー。イヤ、ここでひがんだらミナに小さい男だってきっと嫌われる。ココは笑顔で乗り切ろう。


「何だってー、ミナ! 凄いじゃないか。収納も勿論だけど、水や防壁も凄いな」


 そう笑顔で言った俺に、ミナは能力値を見せてくれた。俺もミナに自分の能力値を見せる。そこで、【守袋】に気がつくミナ。俺は自分の増えた技能の詳細をミナに伝えた。気まずい空気が辺りを漂う。そして、


「なんか、はしゃいじゃってゴメンね。ナゾウ」


 ミナがポツリとそう謝ってきたので、俺はミナの頭をポンポンとしながら、


「いーや、ミナ。そりゃーはしゃいでも仕方ないよ。何せ最高に生活に役立つ収納を手に入れたんだから。だから、俺の事は気にしなくてもいいから、コレからミナの収納にはたくさん活躍してもらうんだし。先ずは岩塩に、薬草、鍋や予備の武器を収納して貰わないといけないからね。頼んだ、ミナ」


 俺は内心の涙を押し隠して、何時もの爽やかスマイルでミナにそう言った。それで笑顔になったミナだけど、もう一度俺の能力を見て言った。


「ナゾウ、危険察知が進化してるよ。半径が四十メートルから、八十メートルに増えてるよ」

 

 と俺が気がついてなかった事を教えてくれた。俺も確認してみたら、ホントだ。確かに倍になってる。守袋に気を取られて気がついてなかったよ。



名前 ミナ(奥 三那) 女 十七歳

レベル 4→5

職能 家事見習い

力  19→21

技  27→30

早  18→20

攻撃 (49+8)  防御 (35+5)

武器 木の棒 防具 異世界の学生服

職能補助技能

 料理(食材を見たら料理方法が分かる)

 清潔(服や体、飲食品の汚れを無くす)

 裁縫(素材があれば服を縫える)

 着火(指先から小さな火種を出せる)

 上水(一日に八リットルの水を出せる)

技能スキル

 【野宿】

場所確保 安全な場所を知る事が出来る

トイレ  トイレを創造出来る

防壁   土や木を利用して壁を創造出来る

収納   自分だけの収納場所を確保



 それから、必要な物をミナに収納して貰い、今ある壁を無くす前に俺は予備の木の棒で一つを叩いてみた。壁を壊す事は出来なかったけど、大きくヘコんだので、そのまま俺の強壁をかけてみる。

 1.2倍から順番にかけていき、最大倍率の1.8倍だと、俺が渾身の力で叩いてもヘコまない事を確認できた。ミナ曰く、この壁も今まで通りに出せるそうなので、場所確保で探した場所で野宿する場合はコチラの壁を出してもらい、俺が強壁をかけて寝る事に決めた。

 但し、危険察知で危険があると判断した場合には防壁を出してもらう。

 因みに防壁は強壁をかけなくてもびくともしなかった。お陰で予備の武器が一本になってしまったけど……


 壊れた予備の木の棒を前にして佇んでいたけど、俺達は気を取り直してもう一晩をここで過ごし、翌朝になってから拠点を後にした。寝る時にはミナが俺の背中に柔らかい何かを押し付けて、抱きついて寝るのだが、俺は必死に頭の中で羊さんを数えて寝る訓練を行った。

 翌朝、泉にこれまでの感謝を口にして述べて、ついでに森に寄って予備の木の棒を拾ってから、辺境の村を目指す事にした。

 さあ、今日にはたどり着けるといいなあとミナと話しながら。

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