第5話 レベルを上げよう
翌朝、俺よりも早く目覚めたミナは、既に片側の壁を無くして外に出ていた。俺もまだ少し眠いけど起きて動く事にした。っとその前に能力を見てみたら、強壮の効果はまだあった。コレはどうなんだろうか。技能の詳しい説明が見れたらいいんだけどな。そう思いながら顔を洗おうと泉に行く事に。
外に出たらミナが焚き火で鉄の鍋で何かを煮ている。俺はその光景にビックリしてしまった。
「お、おはよう。ミナ。その鍋はどうしたんだ?」
「あっ、おはよう。ナゾウ。あのね、泉の側に落ちてたから、周りを確認して誰も居ないから貰ってきちゃった。大丈夫かな?」
そう言いながらエヘヘと笑うミナ。くぅー、朝から可愛いな。
「そうか。もしも落とし主が現れたらちゃんと俺も一緒に謝るよ」
俺がそう言ってミナを見たら、私がちゃんと謝るよーと言って微笑んでいた。それから、何を煮ているのか聞いてみたら、
「聞いて聞いて、泉の側にね、何とお芋さんがありましたー。技能で確かめて食べれるのは間違いないからね。安心してね」
と笑顔で教えてくれた。水で煮ただけの芋は腹が空いてる俺には十分なご馳走だった。箸代わりの木の枝はミナが清潔をかけてくれたしな。
あっ、顔洗うのを忘れてた。俺は食べ終えて鍋の中身が無くなったのを確認してから、洗ってくると言って、鍋を木の棒で支えて運び序に顔を洗った。
戻ってからミナに聞いてみる。
「ミナ、強壮の効果はどうなったかな?」
「あ、ナゾウ。まだあるみたいだよ。ナゾウも意識して技能に集中してみたら効果時間とか分かるかもだよ。私は技能を意識して見たら詳細な説明が出てきたから」
何だって。そんな事が。早く教えて欲しかった。けど、ミナも気がついたのは芋を見つけた時らしいから、俺が泉から戻ってきたら言おうと考えていたらしい。そして、俺は自分の技能に意識を向けてみた。
職能補助技能
【水源探知】
飲み水のある場所を知覚出来る、丁稚の特殊技能
【危険察知】
効果範囲は自身の半径四十メートル。危険なモノが居たり、あった場合にそれを知らせる丁稚の特殊技能
【聞耳】
十メートル離れた小声も聞き取れる、生き延びる為の丁稚の特殊技能
【
✱強力
自身と任意の相手の力を二倍にする。持続時間は戦闘終了後十五分まで
✱強壮
自身と任意の相手を健康にする。効果時間は任意。指定が無ければ永続効果
✱強固
自身と任意の相手の防御を1.5倍にする。持続時間は戦闘終了後十五分まで
✱強壮剤
健康になる薬を出す。体内のマナを利用して薬を生成する為に、一日五粒が限界。飲めばどんな病も怪我も状態異常も癒やす
出た。おお、本当に我ながら凄い技能だなと感心してしまう。それに【職能】
【丁稚】
商家等に口減らしや僅かな給金を期待して親に出される子供。幼い頃より危機管理能力を否応なく育てられる為、危険な事に敏感である。
……いや、まあ確かに俺もまだ子供ではあるけれど。但しこの異世界だと有り難い能力だと思い直した。
「どうだった? ナゾウ」
「ああ、ミナ有難う。ちゃんと見れたよ。お陰で強壮の効果時間も分かったよ。指定したらその時間に出来るみたいだけど、指定しなければ永続効果らしいよ。だから、そのままミナにはずっと強壮をかけておくよ」
「えー、凄いね! でも有難う。ナゾウ」
「ミナの技能は何か違う事とか分かった」
俺がそう聞くとミナが詳細を教えてくれた。
職能補助技能
【料理】
食材を見たら料理方法が分かる。見た物を食べられるかどうか見分ける事が可能
【清潔】
服や体、飲食品の汚れを無くす。進化すれば体内の汚れも落とす事が可能
【裁縫】
素材があれば服を縫える。針は体内のマナを利用して作り出す
【着火】
指先から小さな火種を出せる。火種は直接大きな木に移す事が可能
【野宿】
✱場所確保
安全な場所を知る事が出来る。その場所ではモンスターが現れない事が条件
✱トイレ
トイレを創造出来る。トイレ内は異次元の為、排泄物の処理に困る事はない
✱壁
土や木を利用して壁を創造出来る。最大範囲はハチメートル四方。創造した壁は自由に消せる
「ミナの技能も凄いね。その技能なら安心して旅を続ける事が出来そうだ。そうだ、職能も詳細が見れるんだ。どんな説明が出るか見て教えてほしいな」
「職能も詳細が分かるんだね。分かった、見てみるね」
【家事見習い】
将来、意地悪な姑にイジメられないように、あらゆる家事に精通しようとする人。残念ながら途中で挫折する人も多い。
うん、この職能の説明って…… 俺はミナがお腹を抱えて笑いながら教えてくれた説明にツッコミを入れたくなった。
それから楽しい朝の時間を終えて昨日考えていた通りに、先ずはゴブリンを探してみる事にする。数が三体を超えて居た場合は俺の危険察知を駆使して、その場を離れる事を決めて、ミナと一緒にゴブリンに遭遇した場所を目指した。
昨日のミナの予測だと、ミナはあと二十の経験値でレベルが4になる。ゴブリンが一体で経験値が十だと考えたら二体倒せばレベルが上がる筈だ。
そうして探していたら昨日と同じ場所にまた三体のゴブリンが居た。今日はミナに強固と共に強力もかけて、ゴブリンに対処してもらう。
そして、コチラに気づいたゴブリンは昨日と同じく縦一列になって攻めてきた。これなら大丈夫だな。
ミナは難なく二体を倒して俺と入れ替わった。入れ替わる瞬間に上がったよと俺に言いながら。
俺はそれを聞いてゴブリンを瞬殺した。そして、魔石を拾ってミナを見た。
「ナゾウ、まだ確定じゃないけど大体予想が合ってると思うの。次に四体のゴブリンを倒したら私はレベル5に上がると思う。あと、技能は増えたり進化はしなかったよ」
「そうか。やっぱりミナの予想が正しいみたいだね。それじゃ、俺はスライムを探して倒してみるよ。あと、経験値一で俺もレベルが4になる筈だから」
「うん、そうしよう」
そして、俺達はスライムを探した。そして草原で見つけた。緑色のスライムを俺は力加減をして爆散しないように倒したら、レベルがちゃんと上がった。よし、コレでミナの予想がかなり正しい事が証明されたぞ。あと、木の棒がまた折れたから、探さないと。
俺はミナにレベルが上がった事を伝えて、武器になる木の棒を探そうと近くに見えた森を目指した。勿論、危険察知を発動した状態で。
その森の中で日本の樫の木に似ている木を見つけた。落ちていた枝で適度な長さのモノを手に取ると、樫と同じように固く、それでいて粘り強い感じがしたので、能力値を確認したら(+8)と(+9)になる二本を見つけたので、少し軽い(+8)をミナに渡して、俺は重い(+9)を持つ事にした。
よし、僅かだけども前よりもいい武器を手に入れる事が出来た。今度のはそんなに簡単に折れたりしないだろうと感じる。そうだ、予備としてもう何本か拾っておこう。そして、俺は予備に二本を選んだ。(+7)と(+8)だったけど、十分だろうと思う。ミナは(+7)の方が少し軽いので、そっちを選んだ。なので、(+8)二本が予備になったよ。
新しい武器も手に入ったので、俺達は一旦拠点の泉まで戻る事にして、昼食を食べたらまたレベル5を目指して頑張る事にした。
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