第32話 パーティー その3
「窓から離れて!」
気がつけば美波は叫んでいた。
揺れにより倒れたらしい木が窓ガラスを破壊する。
「きゃー」
悲鳴声を聞きながら続けて叫ぶ。
「机の下に潜って頭を守ってください!!」
叫ぶのは良いけど、この場には料理が置かれていた机が2つしかない。
ここにいる人はお付きの者も合わせて約100人。
絶対に足りない。
「何もない人はとりあえず頭を守ってください!」
永遠のように感じられた揺れが止まり美波はほっと息をつく。
しゃがんで頭を守っていた美波は立ち上がって状況を確認した。
窓ガラスは割れて飛び散り、料理はもう食べれる状態ではなかった。
でもこのダンスホールは家具がほとんどなかったので被害はマシだと思う。
「皆さん、ここは危険です。外の広いところに避難しましょう」
今は大丈夫だが、天井のシャンデリアが落ちてくる可能性は充分にある。
「美波?」
色々考えているとナノが声をかけてくれた。
「ナノ様、皇子様、す、すみません。私偉そうに指示しちゃって」
「いや、ミナミ嬢助かった。ありがとう」
「そんなこと気にしなくて良い。被害が減るのは本望だからな。それより心配なのは美波だ。大丈夫か?」
ナノ様に言われて初めて自分の足が震えていることに気がついた。
自覚した途端に力が抜けてふらつく。
美波だってこんなに大きな地震は経験したことないのだ。
しかも家の中なら対策が出来ているが、ここは初めてきた場所。避難経路さえも分からない。
怖い怖い怖い。
ぎゅっと震えていた身体が力強く抱きしめられる。
最近は抱きしめられることに慣れてきたはずなのに、今はいつも以上に心臓がバクバクしている。
「すみませんっ。ドアが開きません!」
皇子様の護衛の1人がドアを開けようとしてガチャガチャしている。
「開かないの?」
「誰か神様に怒られるようなことした?」
「助けて、神様、助けてください」
そうだ、ここでは地震は神様が怒って起きるって考えられているんだ。
「奥から家具が倒れているんだと思います。窓から出ましょう。誰か窓を割ってください」
窓の近くにいた誰かの護衛が窓ガラスを割り次々とみんなが脱出していく。
「俺らも行こう」
最後まで残った美波達はもう誰も残っていないことを確認して……気がついた。
美波もナノもラフィーもセシルもアーロも無事だ。
……星華がいない。
星華だけが消えていた……。
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ここまで読んでくださってありがとうございます。
前回なんと、話名?をつけ忘れてしまいました。テストとかでバタバタしていたからです。すみません。
このお話も残り少なくなってきました。是非最後までお付き合いください!
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