第25話 ナノの過去 その2
「それでも俺と結婚続けてくれますか?」
「はいっ!」
嬉しくて勢いよく返事してしまった。
ふわっと身体が暖かいものに包まれた。
抱きしめられたのはこれで2回目。しかし今度はさっきの慰めるようなハグじゃなくて大切なものを守るようなハグで余計に心拍数が上がるのを感じる。
ドクドクという妙に速い心臓の音は自分のものなのか彼のものなのかよく分からない。
……ずっとここにいたい。
なんて考えてしまった自分に驚く。
日本に、本当の家族のところに、美波は星華と帰らないといけないのに。
ナノとの結婚はこの世界で生き抜くための手段に過ぎないのに。
……この気持ちはもし戻り方が分かった時に考えよう。
今はこの温もりに浸りたい。
「前の世界では虐められてはいなかったんだよな?」
突然、頭上からそんな声が聞こえて来て笑ってしまう。
「はい。楽しく“華のJK”ライフを満喫してました。団長様は心配症ですね」
「ナノ」
は?
「ナノでいい。団長様だと固い」
「……ナノ様」
少し躊躇いながら口にしてみた。
頬を朱色に染めたナノは小声で何かをボソボソと呟き、あからさまに話題を変えてくる。
「そういえばJKってなんだ?」
「多分、“女子高生”の略ですね」
そういえば前も言葉が通じない時があったな。
結構最近なのにもう遠い昔のように感じるから不思議なものだ。
「じよしこうせい?女子攻撃隊生のことか?」
なんなんだ。その怖そうな隊は。現代の日本にそんな物騒そうなものはありません!!
「女子高校生。……大抵の人は16歳から18歳の間は高校という学校に通うんです。この世界には勉強を教わる学校ってないんですか?」
高校が分からないのかも。と思い丁寧に説明した。
「ないな。男は似たようなものがあるが女子はない。爵位を持つ家の令嬢は専属の教師が教える場合が多い。でも教えているのは社会のマナーだけ。お前のように字が読める者も書ける者もかなり少ない」
だからか……。アーロに怪しまれたのは。
図書室への案内を希望した自分を殴りたい。まぁ、ナノと仲良くなれたから結果オーライなのかも。
「日本はとても識字率が高かったんです。教育もかなり進んでいました。頭の良い大学に入り、一流企業に就職して、好きな人と結婚するっていうのが王道の幸せルートなんて言われているんですよ」
「ここでは結婚は大抵家のつながりのための政略結婚だな。たまにパーティーとかで出会った男女が結婚する場合もあるが」
パーティー!?
「ナノ様、私、パーティー行ってみたいです!」
____
美波がパーティー?
嫌な予感がするのは私だけでしょうか笑笑
最近防災情報全然出てこないんだけど、と思った皆さんすみません。
多分、もうすぐまた出てくると思います。
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