第23話 拷問 その3
「てか、消火器の主成分って炭酸カリウムだったんだ。初めて知った」
「えー、星華ちゃん、美波ちゃんと同じ国出身なんでしょ。知らなかったんだー」
本当のことを話した途端、アーロの口調が砕けた。まぁ、いいんだけど。
「実は消火器は主に2種類あるんだ。家庭用と業務用。ちなみに家庭用はさらに何種類かに分けられるよ。だから全てが炭酸カリウムってわけじゃないの」
「そーなーんーだー」
「ハハハッ」
棒すぎる星華の返しに後ろでナノが吹き出してる。
「何笑ってるんですか!」
美波としてはみんなに覚えておいてほしい事なので笑って流されたことに少しむっとしてつっこんだ。
「えっ?今、団長が笑った?」
「うそ?俺団長の笑顔見たことないんだけど」
ドアの向こうからコソコソとした声が聞こえて食堂にいた6人が一斉に視線を向けた。
「あっ、やべ。多分バレた……」
ナノがずかずかドアの方へ歩いていく。
「覗き見とはいい度胸だな?」
そう言ったナノは黒い笑みを浮かべた。
「うわっ。明日の稽古で殺される!」
「明日の稽古は救急箱持ってこっ!」
口々呟きながら覗き見団員たちは走り去った。
「大丈夫なんですか?」
「大丈夫ですよ。団員達はみんなナノ様のことを敬愛しております。何かが起こることなんて天地がひっくり返ってもありえません!」
美波は少し怖くなって隣にいたセシルに尋ねてたが大丈夫らしい。
「おそらく会話は聞こえてない。今の話はここだけの秘密にする。いいな?」
異議は受け付けないという威圧感満載の言葉に美波達は頷いた。
「美波、今夜7時、ひとりで俺の部屋に来てくれるか?」
え??
お呼び出しですか?
ナノの言葉に大いに戸惑いながらもここでの美波の拒否権はない。
「……はい」
「えー、ナノ様、夜に年頃のご令嬢とふたりっきりになるなんてあやしーですよ」
「ナノ様ですよ。こんな小娘に手を出すほど女性には困ってません!
「えー、セシルさんひーどーいー!」
……待って、セシルさん、アーロさんだけじゃなくて私にもそれ失礼ですよね?
「そうですよ!セシルさん!美波可愛いって日本でも有名だったんですよ。小娘て……」
……星華、フォローありがとう。でもお世辞はいらないよ。
あと、ここに本人達いるの忘れてるのかな?
いたたまれなくなった美波は食堂を飛び出した。
さて、ナノ様のお話とはなんなんでしょうか?
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