第21話 拷問 その1
「……君たちって何者?」
そう言ったアーロの瞳は冷めきっていた。
「わ、私はミナミ。ハニール・ミナミ」
「あのさ、あんまり騎士を怒らせたらダメだよ」
そう言うとアーロは静かに剣を抜き出した。
心臓の音がうるさい。
「そうだ、うちの団長様が気にしてたから『消火器』についても調べておいたよ。ハニール家を悪いけど探らせてもらったけど、なかったよ。そんなもの。それと『消火器』の主成分は炭酸カリウムなんだよね?知ってた?炭酸カリウムって有害なんだよ。団員達を殺すつもり?」
「え……。いや、そんなつもりじゃ……」
どうしよう。いちかばちか体当たりでもして剣を落とす。いや、相手は騎士だ。
転生のことバラす?いや、信じてもらえる訳ないよね。
いや、でもこのままだと殺される……。
「そっか。目的は団員達を殺すこと、じゃなかったね。団長様を殺すことだもんね。8年前、君は王都に住んでたのかな?ハニール家のある南東の言葉じゃないもんね。なまりないし。王宮騎士だった父か兄かの仇をとりたかったってところかな?」
「違いますっ。お父さんを侮辱しないで!」
思わず叫んだ美波の首にアーロは剣を持って来た。
「やっとたぬきの皮が破れた?さっさと最後まで白状し
「ミナミ!……アーロ何やってる?」
食堂に入ってきたのはナノとセシルとラフィー、そして星華だ。
星華の顔は青白い。親友が首に剣を突きつけられているのだからしょうがないだろう。
「アーロ、どこまで進んだ?」
4人の中で唯一状況を理解しているようなラフィーが静かに問いかける。
「それがー意外とーこの子ー頑固でー。あっでも、この子ハニール・ミナミじゃないってことだけは認めましたよっ」
認めたっけ……?あっ、もしかしてさっきお父さんって言ったから……?
「だ、そうです。ナノ様、信じてもらえますか?こいつはハニール・ミナミの偽者です」
「偽者?じゃあ、本物のハニール・ミナミはどこにいるんだ?」
……終わった。
もしかしたら団長様が本物だって信じてくれるかもという一縷の望みは消え去った。
「こいつらに殺された、とかですかね」
……は?
いやいや、現代で平和にのほほーんと生きてただけですって。
そんな殺人できるほどの勇気も覚悟も私にも星華にもない。
「そ、そんな、私達はそんなことしてません!」
声を上げた星華に今度はラフィーが剣を突きつけた。
「君もこの
……絶体絶命。まさにこのことだ。
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