第20話 ラフィーside

「……何を企んでいるんですか?」


「企んでる?」


敬愛する団長ナノ様同僚セシルが部屋から出たのを確認してラフィーは低い声でマナミに問いかけた。


しかしマナミは本気で何を言っているのかわからないという雰囲気で問い返してきた。


役立たず。


小さく舌打ちするとラフィーは部屋を出た。


先日、団長からもうミナミのことを調べなくて良いと言われラフィーは大きく戸惑った。


が、個人的にも気になったのでアーロと2人で調べるとなんとなく理由が分かった。


団長が知りたかったのはミナミの事だけ。それ以外は知りたくない。


おそらく、団長が調べたのはミナミが受けた仕打ちだけ。だから、多分気付いていない。


ミナミはハニール・ミナミじゃないってことに。


しかも、ナノはミナミに興味を持っている。


これで興味がなかったら堂々と言ってやるのに。興味があるなら下手なことは出来ない。


なんせ一時期は本気で結婚しないつもりかと周りのみんなが思うほどに女に関心がなかったんだから。


とにかく、自分に出来ることはミナミの目的を知ることだ。


♦︎


「『俺らに謝罪しろ』だと?ふざけるな!俺らは公爵家だぞ。騎士団とは身分が違うんだ。皇子様からの命令でミナミを貸してやってるだけなんだからな!」


ハニール家を3人で訪ねた次の日、ハニール家の現当主が文句を言いに来た。


愚かな奴……。


ここは騎士の集まりなのに。


「その皇子様が直接面倒を見て下さってるのが、我が王宮騎士団です。その団長となれば身分は公爵家と同じぐらい。しかし発言力、影響力はただの公爵家とはレベルが違いますけど」


敬愛する団長が馬鹿にされたからか、ナノが口を開く前にセシルが饒舌に言い切った。


「俺は何でも言うって言っただけだ。そんなに謝りたくないんだったら無理にとは言わない。……後ろめたいことが何もないならな」


ナノの静かな怒りにスッと背筋が冷える。


ラフィーも何か言いたかったがこの場では特に言うこともないので口を閉じた。


「ミナミといいお前らといい若者は生意気な奴ばかりだなっ」


顔を真っ赤にして勢いよく言うと当主は玄関から出ていった。


「俺、あいつがなんかしないかもう少し見ておきます」


ラフィーはナノに尾行宣言をすると当主が消えた玄関へと飛び出す。


誰もいないか確認して前を歩く当主に声をかけた。


「何を企んでいるんですか?」


……マナミと全く同じ反応だった。


全く訳がわからない。


ミナミの単独犯ってことか?


ラフィーの謎は深まるだけだった。


____


20話まで来ましたー!


読んでくださった皆さんありがとうございます。


そろそろこの物語も折り返し地点です。


これからも☆やコメントお待ちしておりまーす!

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