第18話 ご当主様襲来?

火事の日から数日。


あれから特にナノとはなんの進展もない。好きになってもらえたかも分からない。


美波は自室のベットに寝転がり、天井を見上げた。


……お母さん、お姉ちゃん、元気かな??


現在、美波は絶賛ホームシック中。


美波の感覚が正しければ今日でちょうど転生して2週間が経っていた。


普段旅行もしない美波は丸2日家を空けたことはない。完璧に未知の領域に達していた。 


「美波!」


突然星華が勢いよくドアを開けて飛び込んできた。


いつもなら「小説に出てくる侍女は優雅なの!」とか言ってドタバタしたりしない。


「どうしたの?日本に戻る方法でも見つかった?」


「た、大変!ハニール家のご当主様が……」


とりあえず星華に連れられ美波は廊下に出た。


玄関側が騒がしい。


「奥様、後ろにお下がりください」


あの火事以来、よくおしゃべりするようになったノーラルが声をかけてくれた。


「ノーラル、何があったの?」


ノーラルに連れられ食堂に避難して美波は食堂につくなり口を開いた。


「すみません。よく俺は分からないんです。ただ団長からの指示で玄関から奥様を離れてさせろ。と」


「良かった良かった、ちゃんと避難できたんですねっ!ミナミ様が出てきた時はヒヤッヒヤッしましたよぉ」


割り込んできたのはアーロ副団長だ。


「アーロさん!ご当主お父様が来てるんですか?なんで今更?」


アーロはノーラルに食堂から出るように指示して2人っきりになったところで話し出した。


「ミナミ様って家族と上手くいってないんでしょ。よくよね」


脳を殴られたような衝撃だった。


ずっとチャラい感じはしていたが一応アーロは敬語を使っていた。


ハニール・ミナミは公爵令嬢。そしてアーロは騎士団の実力だけでのし上がった副団長。

 

「ハニール・ミナミは公爵令嬢。しかし出来が悪く淑女になるための稽古も十分にこなせなかった。朝から晩までダンスの練習、マナーを学んで、裁縫、料理。さらには義母、義妹から雑用を押しつれられ、よね?」


鳥肌が立つ。悪寒もする。


「ナノ様に言われてたからラフィーと一緒に調べたんだよね。ハニール・ミナミは字が読めない。『防災』を学ぶ手段も時間もない。もうひとつ面白いことが分かったんだよね。君が連れてきた侍女、セイカ。小さい時からずっと一緒にいたって言ってたよね。……セイカっていう使用人は過去にハニール家にはいなかったんだけど」


心臓の音が、うるさい。


「……君たちって何者?」

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