第15話 厨房にて その1

よし!


とナノとセシルが出ていきひとりになったところでミナミはガッツポーズをする。


ミナミにとって防災がお役に立てること以上に嬉しいことはない。


「……何やってるの?」


いつのまにか星華が戻ってきたらしい。6枚ほど座布団を抱えている。


「まぁいいや。それより騎士団長のこと何か分かった?図書室で防災関連の本ばっかり見てたんじゃないでしょうね?」


……図星です。


『好きにならせる』とか言っといて情報収集をサボった自分に今更ながらミナミは呆れる。


「思ったんだけど本で情報集めるより親しい人に聞いた方が良くない?」


ただの言い訳である。


「親しい人か……。一理あるな。でも訓練中の団員さんとかに直撃したらなんか悪くない?」


「そうだねぇ。じゃあ副団長さん!いや、もっと忙しいか……。あっ、厨房は?ここってお料理団員さんがやってるんだよね?」


「いいと思う。団員さんとも仲良くなれるし、お手伝いしたら美波の株も上がるし、上手くいけば胃袋つかめるし!」


あと、食料の蓄えもチェック出来るしね。


美波と星華は厨房に向かった。


♦︎


「奥様……!ど、どうなされましたか?」


食堂に顔を出した途端に団員さん達が固まった、かと思えばバッと揃ってお辞儀した。


こっちが驚いてしまう。


「えっと、お昼ご飯のお手伝いをしようかと思って……」


「そんな、奥様のお手を煩わせるなんて恐れ多い。大丈夫です。自分達で出来ます!あっ、いや、もしかしてお口に合いませんでしたか?それでこんなもの食べれないからご自分で作りたい、とか、ですか……?」


手をブンブン振って断ったかと思うと急にしゅんとなった団員さん。


「ううん。美味しかったよ。でも暇なの。実家では料理のお手伝いしてたし、ねぇ、ダメかな??」


「い、いえ!奥様にお手伝いしていただけるなんてこんなに嬉しいことはありません!」


美波と星華は早速、厨房に入れてもらった。


今日は照り焼きチキンにミネストローネだと言われたので美波は野菜を切ることにする。


「すみません、手伝っていただいて」


隣では団員のノーラルがテンポ良く人参を切っている。


「全然いいよ。ていうか、ナノ様ってそんなに怖いの?それとも、奥様である私を手伝わせるなみたいに言われてるの?」


「そ、そんなことはありません。ただ……」


「ただ?」


「慣れてないんです……。その、じょ女性と話すことが。ここ男ばっかりだし……」


顔を真っ赤にしてノーラルが言い訳する。


「良かった。私、ナノ様のことあまり知らずに嫁いじゃったから。部下にそんな事言う人だったらどうしようって」


「……団長様はそんな人じゃありません」


静かながらはっきりした声。


美波は「え?」っと聞き返した。


____


やっと、15話まで来ましたね!


さてさて、やっと出てきましたノーラル。実は現在考えてる中で1番好きなキャラクターなんです。


ぜひお気に入りのキャラクター出てきたら教えてほしいです。


では、また20話でお会いしましょう。

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