第12話 ナノside
「『自然・災害』に興味を持つ令嬢ってことか?」
朝イチからミナミに挨拶に行ったアーロはミナミに図書室に行きたいと言われ、案内したそうだ。
それで図書室での様子を観察しているとあるコーナーで足を止めたと言う。
それが『自然・災害』のコーナーだったらしい。
「今時の令嬢ってそんな面白くないことが流行ってるのか?」
「あの娘が変わっているだけでしょう」
セシルは一刀両断だがナノも不思議に思った。
年頃の娘が興味を持つものといえば、甘い物やキラキラした宝石。図書に興味を持ったとしてもせいぜい恋愛小説ぐらいだろう。
それなのにミナミが向かったのは男でもほとんど好んで読まない自然の本らしい。
少し、ほんの少しミナミに興味が湧く。
「意外と積雪が酷い地域の対処法を知ってるかも知れませんねっ」
「いや、アーロ、罠かもしれません。どうにかしてナノ様の気を引こうと我々が北東部の対応に困ってる事をだしにして話しかけてもらおうという魂胆かもしれないですし」
「……確かに、ミナミに聞いてみるのはいいかもしれんな」
「ナノ様!?今の話聞いていましたか?」
聞いていたがいい方法だと思ったのだ。
今のまま、ただ多くの騎士を送っても人が増えすぎてただ迷惑になる可能性もある。
だったら効率よく復旧するかもしれない方法を聞いた方がいい。
「ミナミの部屋に行く」
「なら、私がお供します。小娘が失礼のないよう見張らせていただきます」
ナノ至上主義のセシルはナノの言葉には逆らえない。仕方がなくついて行くことで手を打つことにしたらしい。
♦︎
セシルがドアをノックする。
少しするとミナミがドアを開けた。
「少しいいか」
ミナミはセシルの存在しか見えてなかったのだろう。突然声を出したナノに驚いたようだ。
「も、もちろんです」
ミナミはナノ達を自室に招き入れた。
ナノが椅子に座ると横からミナミがお茶を出してきた。
セシルにも勧めている。が、断られたようだ。
ミナミが向かいの椅子に座ったことを確認して本題に入る。
「お前は、災害に興味があるのか?」
「災害ですか?興味がないと言えば嘘になりますが私は防災派です」
ぼうさい?
聞いた事のない単語だ。
「『防災』っていうのはお前が作った造語か?」
言った直後、ミナミの顔がありえない、やってしまったとかそういう複雑な表現に変わった。
「………そうです」
ものすごい間があったが造語だと肯定した。
……そんなに造語をつくることは恥ずかしいことなのだろうか。
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