第11話 災害大国

「星華!大変!」


「ミナミ様!?どうされましたか?」


美波は星華に駆け寄り声をひそめた。


「この世界、日本と同じだ…」


「は?日本と同じ?元に戻る方法が分かったの!?」


星華と美波の会話が微妙に噛み合っていない。 


「元に戻る方法?分からないよ。なんで?」


「違うの?いや、違うのですか?」


「うん。ここ災害大国だよ」


そっちですか……。と星華のため息が聞こえた気がするが災害は恐ろしい。


「地震とかですか?」


「そう。でもちょっと違っててここでは地震はまだ『神の怒り』みたいに考えられてるみたい」


「……文明がかなり遅れていませんか?」


星華がまさかという顔をする。


「ご想像通り。ほとんど何の対策もされていない。なんなら"避難訓練のススメ"っていう本にはまとめのところに1番大切なのは神様を怒らせないことって書かれてた」


「"避難訓練のススメ"ってなんですか。そんなん、小学校で習うでしょ」


気になるポイントが少しズレてるように感じるが気にしないことにする。


とりあえずここ図書室でしゃべると目立つ。


ミナミの自室に戻る事にする。


「お疲れ様です」


自室までは棟が違うので少し歩かなければならない。


ここはC棟。武道場等があるので稽古休憩っぽい騎士の人とよくすれ違う。


美波は出来るだけすれ違う団員さん達みんなに労いの言葉をかけた。


「やっべ。可愛い」


「マジで天使?」


なんていう団員の言葉は聞き流しておく。可愛いのは美波じゃなくてミナミだから。


♦︎


少し歩いて部屋に着いた。


「ねぇ、星華、この世界って座布団って存在する?」


「さぁ。なんで?」


「天蓋付きベットって可愛いんだけど防災から見ると危険なんだよね。寝てる時って瞬時に動ける訳ではないから天蓋が落ちてきたら挟まって動けなくなるでしょ。だからとりあえず座布団で寝ようかなって」


お屋敷の防災について美波が何かを言ったところで改善されるとは思わない。


だからまずは自分の身の周りからだ。


ベットはもちろんシャンデリアも危険だなとか本棚やドレッサーが固定されてないのも怖いなとか色々呟く美波ははたから見れば不思議な奴だと思われるだろう。


当初の図書室に行った目的はもう美波の頭の中にはない。


色々呟く美波を見て星華は面倒臭いと判断したのか「座布団探してきまーす」と言って逃げてった。




トントントン。


星華が戻ってきたのかと思い、座布団運びを手伝おうとドアへ寄るとドアから顔を見せたのはナノ様とお屋敷を案内してくれた団長大好きな副団長セシルだった。


「少しいいか?」

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