第9話 ナノside
「……私がナノ様を落とします!」
…は?
突然呼び出したから何かと思えば俺がミナミを好きになるよう努力すると宣言された。
残念ながら、多分君のこと、嫌いはしないだろうが好きにはならないと思う。
「……好きにしろ。多分俺は落ちないけどな。話は終わりか?なら俺は仕事に戻る。」
ミナミに背を向けると後ろから「頑張ります!」と元気な返事が聞こえた。
ミナミとはなかなか不思議な女のようだ。
♦︎
「私がナノ様を落とします!。か。ミナミ様って意外とアクティブなんですね」
「馬鹿言わないでください。ナノ様があんな小娘ごときに落ちるわけないでしょう。ナノ様が落ちるならもっとこう、可愛らしくて、頭の良くて、性格も良い天使みたいな方なので」
「いやいや、ミナミ様の頭の良さは分からんけど可愛らしくて性格も良いってところは十分当てはまって…
「たっだいま戻りましたー」
セシルとラフィーの言い合いの中、やけにハイテンションで男がひとり帰ってきた。
この男が3人目の王宮騎士団の副団長アーロである。普段からヘラヘラしてるが副団長を務められるぐらいには仕事の出来る奴だ。
「で、ナノ様、花嫁様はどんーな人だったんですかっ?」
ミナミのことが気になってたらしい。
「普通、いや少し変な女だった。」
「へぇ。ますます見てみたーいなぁ。なにが少し変なんですか?」
セシルが初対面の挨拶と図書室でのやりとりを簡潔に話した。
「あははは!なにそれめっちゃ面白いじゃないですか。その場面見たかったなぁ。ナノ様今からミナミ様にご挨拶してきてもいいですか?」
「もう夜だ。諦めろ」
不満そうな副団長を横目にナノは仕事を再開した。
「……でも、ラフィー。ミナミのことは少し見張れ。そして何か動きがあれば逐一報告しろ。」
特に問題を起こすようには見えなかったが、なかなか変わった女だ。何かあるのかもしれない。
「承知いたしました。」
「じゃあ俺は、ミナミ様の従者、セイカお嬢さんでしたっけ、を見張りますよー」
「……分かった。頼む」
アーロに関してはこの男の花園で女に関わりたいだけのように感じなくもないが、仕事はちゃんとやってくれるのでいいだろう。
「変わり者の令嬢ならナノ様を変えられるかもな」
「女にメロメロになるナノ様、一度ぐらいは見てみたい」
「不毛ですが、少し小娘に期待しておきましょう」
幸か不幸か、副団長達の言葉はナノには聞こえてなかった。
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