第8話 宣戦布告
カランカランカラン。
とベルが鳴って美波と星華は食堂へ向かう。
「ミナミ様、ここが食堂でございます。」
星華がそう言って食堂のドアを開けた。
開いたドアに団員たちの視線が集まる。
「……団長の奥様?」
「やべー。」
「めっちゃ可愛いじゃん」
「団長いいなぁ」
ひとりの団員さんの声に反応してどんどん大きくなっていってますます入りにくくなった。
「静寂に!……ミナミ、どうぞ」
さすが、団長様。一言でみんなを黙らせた。
星華にも背中を押され、一歩踏み出す。
「王宮騎士団の皆様、初めまして。この度ナノ団長様に嫁ぐ事になりましたハニール・ミナミです。分からないことだらけなのでご迷惑をお掛けするかもしれませんが精一杯努力しようと思います。よろしくお願いします」
パチパチパチ。
拍手の音に包まれながら美波はナノと星華の間に座った。
夕飯はご馳走だった。異世界の料理が口に合わなかったらどうしようかとか最初は思ったが普通に美味しかったので安心する。
中華のようなメニュー。日本語で言うとチャーハンに麻婆豆腐、シュウマイに小籠包、デザートには胡麻団子が出てきた。
食べながら美波は考える。
もし星華が
つまりはこっちで美波がしていた生活をミナミが引き継ぐ様な形になる。
って考えたらミナミに迷惑はかけられない。
おそらく
それで戻ってきて、過酷な生活してたらミナミはきっと耐えられないだろう。
よし!決めた!
絶対王宮騎士団長様に好きになってもらってこっちでミナミの幸せを確保する!
そう決めたら善は急げだ。
「ナノ様お話があります」
美波は隣りに座るナノに声をかけた。
♦︎
「なんだ?」
ここは食堂の真上にある図書室。図書室には美波とナノの2人きり。(実際にはドアに張り付くようにして星華とセシルとラフィーが聞いているが。)
「あの、お仕事の邪魔をしなければ良いんですよね。」
「あぁ。俺の仕事の邪魔にならなければ、この屋敷でどのように過ごそうと構わない。しかし、出来るだけこの屋敷からは出ないようにしてくれ。欲しい物などがあれば誰かに言えば調達してくれるだろう。」
「分かりました。じゃあ私はナノ様のお仕事の邪魔はしませんがナノ様が私を好きになってもらえるよう努力します。
……私がナノ様を落とします!」
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