第6話 美波の部屋にて
挨拶を終えた美波は部屋を出る。
美波のお付きで来てくれたみんなはもう帰っていた。
お付きのみんなはミナミについて行きたいと懇願したそうだが、ご主人様に却下され、用事が終わり次第すぐに帰るよう命令を受けたらしい。
ひとり残った星華はもうお屋敷を案内されていて、もう間取りはばっちり理解したそうだ。
「ここがミナミお嬢様のお部屋だそうです。」
ミナミのために用意されていた部屋は高校の教室ぐらいの広さで白を基調とした可愛らしい部屋だった。
シャンデリアに天蓋付きベット、大きなドレッサーには溢れんばかりのドレスが入っている。
「ねぇ、美波、騎士団長様ってどんな人だった?」
星華は人前では様付けで敬語だが、ふたりきりの時はいつも通りタメ語だ。
「お顔は整っていらっしゃった。でも冷たい気がした。」
「やっぱ、イケメンなんだ。良かったじゃん。」
「良くはないよ。だって、仲良くはなれなさそうだもん。」
美波の報告の後は星華の報告を聞く。
このお屋敷は3つ棟があってA棟はここ。主に王宮騎士団長さんの住まい。(副団長さん達もここに住んでるらしい)そしてB棟が団員さん達の住まい。寮みたいな感じらしい。最後にC棟はその他の施設。食堂や道場、大浴場なんかもC棟にあるようだ。
「それで問題はここ、男しかいないんだよね。」
星華の言葉に驚く。
「メイドさんとかいないの?こんなに広いお屋敷なのに?」
「団員さん達が手分けしてやってるみたい」
なるほど、それでお出迎えしてくださった使用人らしき人々が全員男だった訳だ。
「それで美波、食事の時、団員さん達に挨拶する事になってるから。ちなみに食事はあと30分後。鐘が鳴るみたい。あと安心して。ここ海から離れてるから津波は来ないって。」
防災情報をしっかり仕入れといてくれるのは防災オタク人間美波にとってとてもありがたい。…ありがとう、星華。
「それにしても心配ね。このお屋敷。」
「なんで?」
「津波来なくても、地震来たら終わりじゃん。シャンデリア落ちてくるしベットの天蓋は崩れるだろうし、壁の絵画も絶対落ちるよ。高そうな絵なのに。てかこの世界地震って起こるのかな?」
星華の呆れた声が聞こえた。
「……食料の蓄えはちゃんとありそうだよ」
そっか、よかった。
「えっと、話変わるよ。先に決めとこう」
呆れ顔から真面目な顔に切り替えた星華に習って美波も真面目に聞く。
「私たちが転生してきたことは誰にも言わないでおこう。私が元に戻る方法を考えるからそれまで美波は追い出されないように団長様と仲良くしてね、OK?」
と聞く星華に「……頑張る」と美波は返した。
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