第5話 ナノ様とご対面
……ここで合ってますか?
ハニール家を出て半日ぐらい経っただろうか。
美波たちが乗る馬車が止まったのは美波たちの高校ぐらい大きな洋館だった。
ハニール家も十分というかかなり大きなお屋敷だったがこのお家を見た後だと小さく感じるだろう。
美波の従者が門番っぽい人と一言二言話すと門が開いた。
馬車が門に入るとお屋敷の使用人さん?たちが総出でお迎えしてくれている。
美波は先に降りた星華の手を借りて馬車から降りた。
「お待ちしておりました。王宮騎士団の副団長をしております、ライ・セシルです。ナノ様は中でお待ちしております」
副団長さんに続いて美波たちもお屋敷の中に入っていく。
お屋敷の中は想像通り小さい頃に読んでた童話に出てくる様な内装。
天井にはシャンデリア、壁には絵画、床は大理石。
「……」
「とても綺麗ですね」
言葉を失った美波に星華がフォローを入れる。
「もちろんです。我が家のご主人様は騎士団長という立派な身分をお待ちですし、ご存じでしょうが8年前カンパニュール王国を守った英雄。完璧なお方でございます」
副団長さんは嬉しそうに言う。誇り高いようだ。
「……こちらがナノ様の書斎でございます」
廊下の一番奥の部屋まで来た副団長さんはお付きの方はここまでで、でと、美波の入室を促した。
トントントン。
ゆっくりと3回ノックした。
転生前高校の先生に2回ノックは失礼だと習ったからだ。
「入れ。」
中から応答があったので美波は深呼吸してドアを開けた。
「お初にお目にかかります。ハニール・ミナミと申します」
できるだけ綺麗な礼を心掛ける。
角度は45度、背中は曲げない。許可が降りるまで顔を上げない…。
どうでもいいが、高校の面接を思い出した。
「顔を上げろ。俺は相手の顔が見えないのは嫌いだ。」
この世界の秩序が分からない美波は低い声に反応して恐る恐る顔を上げた。
うわっ。綺麗な人。
目の前の椅子に座った男性は騎士のトップとは思えないほどの綺麗な顔立ちをした漆黒の騎士服を纏った男性。
真っ白の肌に少しくりっとした群青色の瞳。漆黒の髪の毛は遠くから見てもサラサラだと分かる。
この方が私の結婚相手……。
「はいっ。すみません。」
つい見惚れてしまった美波は反射的に誤った。
「俺は仕事で忙しい。皇子の命令で結婚しただけだ。俺の仕事の邪魔はするな。それ以外は何をしていても構わない。もちろん夫婦の営みもする気はない。以上。」
……はい。
どうやら私たちは本気で戦略結婚らしい。
上手く行くのだろうか。この世界で。
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第5話まで読んでいただきありがとうございます!
やっと、騎士団長様が出てきました!遅くなってすみません。
続きが早く読みたい!とか、思ってくださったら是非★やコメントお願いします!
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