第4話 本当のミナミ
部屋を出た美波は部屋の外で待機していた星華と合流して、お風呂に向かう事にした。
1番風呂なんてご主人様に怒られないのかと星華に聞くと、ご主人様も義母も義妹ももうお風呂には入っていたと教えてくれたので安心して入ることが出来た。
♦︎
なにこれ…。
お風呂に入って美波は驚いた。
信じられなくて鏡と睨めっこする。
鏡に映ったミナミはめちゃくちゃ可愛かった。いわゆる美少女ってやつ。
白い肌に栗色の髪の毛は腰ぐらいまである。
でもそれ以上に驚いたのは自分の身体だ。
服を着ていると隠されていて気付かなかったが服で隠れる部分だけ傷だらけなのだ。
青紫色に腫れている箇所が確認できるだけでも1つ、2つ、3つ、…。大量にある。切り傷もやけどの跡も沢山ある。
これだけでミナミがどんな境遇で生活していたのがよく分かった。
湯船に浸かると身体中が痛い。しみるのでさっさとお風呂から上がる事にした。
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「早かったね」
そう言う星華を連れて"ミナミの部屋"に向かう。
"ミナミの部屋"はリビングやダイニングから1番離れた場所に合った。
大きさは畳み3畳あるかないかぐらい。さっきのどでかい部屋を見た後だと一層狭く感じる。
美波はお風呂で見たミナミの身体について星華に話した。
「そっかぁ。だからお風呂早かったんだ。」
星華も美波がご主人様と話していた間やお風呂に入っていた間などに集めた情報を話してくれる。
ここはカンパニュール王国。ミナミのフルネームはハニール・ミナミ。ハニール家は公爵家で現当主はハニール・カメル。でこのハニール・カメルがミナミの父。ミナミの実母が亡くなりすぐカメルは再婚。それがハニール・クリン、ミナミの義母である。カメルとクリンの娘がハニール・マナミ、ミナミのひとつ歳下の義妹だ。
マナミの方が可愛らしく、出来も良かったため、ミナミは虐められてきたらしい。でもミナミは心優しい人で使用人達には愛されている存在だそうだ。
「ミナミって素敵な人だったんだね。」
それぐらいしか美波は言えなかった。
「美波の結婚相手の騎士様はほとんど情報がないんだって。イケメンで超強い騎士団長っていう情報以外。どんな訳ありなのか全然分からなかった。ごめん。」
謝る星華を慰める。
ちなみにこのカンパニュール王国は8年前までかなり荒れていたらしい。その'荒れ'を収めたのが美波の結婚相手のナノ騎士団長。天下の騎士とも呼ばれているとか。
この世界で右も左も分からない美波はなんの情報もなくても結婚する以外に生き残る道はない。
美波は覚悟を決めた。
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