第3話 転生先の家族


美波は星華に連れられてどでかいお屋敷の1番大きそうな部屋の前にいる。


「ここに美波のお父さんとされてる人、すなわちこの家のご主人様がいるから。で、メイドさんとかに聞いた話ミナミには異母姉妹がいて、ご主人様はその異母姉妹の方を大切に接してるらしいから、……頑張って!」


……は?


星華の言葉を整理すると、転生して美波はミナミと入れ替わった。それでミナミには異母姉妹がいて、ミナミは異母姉妹と義母とご主人様に嫌われてるってこと?


……まじか。


美波はドアの前で深呼吸してからドアをノックする。


「お父様、ミナミでございます。」


入れ、と短い返事がしたのでゆっくりとドアを開けて中に入った。


予想通りの広い部屋はドラマで見るようなどこぞやの社長室を連想させた。


まず目がいくのは偉そうに高級そうな椅子に座った男性。50後半ぐらいの年齢だろうか。


高校の校長先生に似てる……。


その横に立ってるのが40代ぐらいの女性と美波と同い年ぐらいの女の子。


「今日呼び出したのは我が家の今後についてだ。爵位はマナミ、お前が継げ」


爵位?確か、社会的地位のランクのことだよね。そしてこの子はマナミっていうんだ。


「はい!やっぱり出来損ないのお姉様より私の方が跡継ぎには向いてますものね。それで私はどなたと結婚するの?」


少しトゲを感じた様な気がした。


「マナミはフラッタ様と結婚するんだ」


「まぁ、良かったじゃない。マナミ。フラッタ様ってイケメンで有名よね。…で、ミナミはどうなるの?」


お父さん?の言葉に大袈裟なぐらいのオーバーリアクションで返したのが義母だろう。


「ミナミには嫁いでもらう。ナノ王宮騎士団長様のところへ。これは皇子様からだ。断ることは出来ない。」


「王宮騎士団長様って確かもう22歳よね。訳ありの方なんでしょうねぇ。良かった、私の結婚相手じやなくて」


なるほど。理解した。


嫌われ者のミナミを訳あり騎士様に嫁がせようってやつなのね。


にしても22歳で、結婚し遅れてるの?この世界やばいな。


美波は聞くべき話はもう終わったと判断して王宮騎士団長様の良くないうわさ話をする3人を残して部屋を出た。


なかなか不穏な転生生活の幕開けだ。

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