第2章 「幸せでした」と彼女は言った。
彼女の独白
幼き日の記憶は、いつも灰色だ。
わたしの世界はとても狭くて、切り取られた正方形。
雪も、鳥も、星も、青空も、全部が四角い額の中。
主よ、かごの中で何不自由なく育てられた鳥が。
羽ばたきたいと願うのは、きっと大きな罪なのでしょう。
だけども鳥はすべからく、空を夢見るものなのです。
――貴方の罪は、優しさでした。
いつか取り上げるつもりなら、翼なんてくれなければよかった。
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