とても素敵な読後感でした。
家族の死という折に触れてだけ、心を共有する叔父と姪。
遠くてもとても近い、無理な恋愛味を帯びないその美祢ちゃんの語り口が素晴らしかったです!
そしてやっぱりここぞというときに、眼鏡を外した叔父さんに乾杯!(温燗)
作者からの返信
おおお、素敵な読後感なんて言っていただけてとても嬉しいです!
親密な仲ではないけれど、確かな絆のある二人の、静かな交流を書いてみたかったのです。全てを共有は出来ないけれど、すっと思いが通じ合う人って時々いるよなぁ、と。
(´艸`*)うふふ……眼鏡は外すタイミングが大事ですよね!
ずっと眼鏡越しに見ていた叔父の大人の顔ではなく、生身の顔が初めて覗く瞬間でした。温燗でそっと乾杯です。
顔を合わすたびに叔父さんの人物像にピントが合っていくさまが、とても素敵でした。語り口はとても穏やかで、描かれる情景もしっとりとしているのに、ドラマティック。叔父さんの人となりが明らかになる過程は、そのまま美祢さんの成長の軌跡でもあるのですね。
ただ静かにお酒を酌み交わし時間を共有する、二人の距離感が好きです。
作者からの返信
子供の頃って見えているつもりで見えないことが色々あって、大人たちも子供には見せない顔があったりして、世界は不透明だけどなんとなく幸せなものだったなぁと思います。
でもそれが見えるようになってきたら、辛い事も悲しいとか悔しいとか思う事も増える代わりに、誰かと本当に理解し合えるようになっていく、という幸せもあると思います。そんな世界をうまく描けていたなら良かったです。
恋とも言えないけれど一度は恋をして、けれどそこで自分は子供だと気付いて踏みとどまった美祢だからこそ、今のこの大切な距離があります。
自分が学生の時って、もっと我が儘だったと思うのですが、美祢だったらきっと、という感覚があって、初めて「私」とは少し離れたところに行ってくれた子でもあります。
親兄弟でも、なんとなく合わない人というのはいるものですよね。
叔父と姪という関係は、二人にちょうど良い距離だったのかなとも思えます。
子供だった美祢ちゃんが、黙ってお酒を受けてくれるまで成長して、それはもう感慨深いだろうなぁ。
空気感を共有できる人というのは貴重ですから、この先何か変わっても、変わらなくても、良い付き合いが続くのでしょう。
しんみりと心に染みる銀縁眼鏡、ありがとうございました!
作者からの返信
そうなのですよね。年配の人が一緒に暮らしていると時代的な価値観が合わない、って事もあったりしますし。
私もどうして叔父と姪になるんだろう……とちょっと考えたのですが、兄弟でも親でもなく赤の他人でもなく、というのがそもそも微妙な距離で、その距離を保ちやすい関係なのかな、と思います。それが時に、とても居心地のいい間柄になるのかな、と。
明晴叔父にしてみれば、最初は適当にからかうつもりだったのが、立派な大人の女性になって、大事な時に寄り添ってくれて、内心ちょっとだけ恥ずかしいながら喜んでいるのかもしれないです。これからも節目節目には顔を合わせ、美祢が誰かと付き合ったり結婚したりしても、一緒にお酒を飲むんだろうなぁという気がします。
心に染みる、と言ってもらえて嬉しいです。お読みいただきありがとうございます!
とても良かったです。
声をかけるでもなく、言葉を交わすでもなく、ただ隣にいてほしいだけのことってありますよね。その距離感を共有できる二人なんですね。
家族だからといって共有できるとも限らず、恋愛でもない、けど確かに二人の間にはお互いの心地良い距離感がある。
この距離感と空気感好きです。
作者からの返信
ありがとうございます!
こういう時は誰かに隣にいて欲しいけれど、話をしたいわけじゃない、という辛さって時々あるなぁと思います。そして逆に他人を見て、今きっとそうなんだろうな、と気が付く時もあって、そういう感性の持ち主同士が出会ったら、と思ったら一気に書きあがっていました。
全て話して分かり合う事が、すべからく善い事なのだとは思わない、分からないまま受け入れるのが家族がうまくやっていく方法なんじゃないか、と時々思います。
我が家では両親がほぼ喧嘩しないし、兄弟喧嘩も少ないけれど、お互いに無関心でもなく、べったり仲良しでもない。そういう環境で生きて来た経験が、距離感という形でぽんと出て来たのかも知れません。
どう思われるか気になるところでしたが、好きと言っていただけて嬉しいです。
たとえ仲が悪かったとしても、永遠の離別は堪えようもなく寂しい。たとえ親しい間柄ではなくても、寂しいときにそっと寄り添ってくれるひとは掛け替えがない。曰く言い難い感情を一献傾けられ、くいっと飲み干したような、そんな読後感でした。お酒を勧めるという形で年下に甘えたくなる叔父さんと、既に二十歳を超えてそれに応えられる美祢さん。素敵な関係です。
作者からの返信
明晴叔父の胸中は正にそんな感じです。
許すことが出来ない思いを抱えていて、葬儀で涙も流せないのに寂しい祖母の死。そんな祖母との関係に苦しんでいた時、こっそりお酒を教えてくれた父親が死に、けれど泣いている暇も無い。どちらもとても辛い時に、何も知らずに寄り添ってくれる存在が美祢でした。
美祢の視点から描いている物語ですが、そこから叔父の思いを汲み取っていただけてとても嬉しいです。
お読みいただきありがとうございます!
あぁ……これはじんわりと、甘くて少ししょっぱい余韻が残るお話でした。
最初お酒を飲めなかった彼女が、最後は一緒にお酒を飲む。このラスト凄い好きです。
くっつく、くっつかない、じゃなくて、それ以前に何か深い縁が二人にあるよう。こう、全部を書かずに良いんで楽しませる書き方ってホント憧れます。
葬儀の雰囲気や親戚の集まりなんかもリアルで、読みながらそうそう!って頷いたりしてました。
(最後の葬儀、もしかして叔父さん……!?イヤァッて思ってたら違って良かった)
作者からの返信
月音さんにそう言われるとうおおお!!ってなりますw
実は最初、叔父さんには本当に恋をして、けれど実らせることが出来ないまま、最後に結婚の挨拶に来る、なんて話を想定していたんです。ですがふとそこで、月音さんの作品が思い浮かんで、これは私のじゃないな!と方向転換しました。
そうなんです。二人の関係に私が書きたいと思うのは何か、とよく考えて、恋人でも友人でも相棒でもないけれどかけがえのない人、というものが書きたいんだと気が付きました。それをうまく表現できているならとても嬉しいです!
葬儀や親戚の雰囲気は、どこを描けばリアルかな?といろいろ思い出しながら書いたので、頷いてもらえたなら良かったです。
(いくつか想定した中に、最後その可能性もありました!イヤアッってならなくて良かったですw)
おお……これぞ純文のかほり漂う切ない無精髭恋愛文学——もとい銀縁眼鏡文学ですわね!
淡い恋心に抱きつつ、それが相手のことを全然分かっていなかったと気づいた瞬間の何ともやりきれない心の動きが繊細でとっても印象的でした。
親戚たちとの近いようで遠い距離感。小さな頃はよく会っていても、大きくなるにつれて間遠になっていったりもするし、どんどん関係って変わっていくものだなあと改めて。
穏やかで素敵な余韻の残る、銀縁眼鏡、ありがとうございましたー!!
作者からの返信
無精髭恋愛文学、次に来る予感……!?
叔父と姪の話第二弾でした。楽しんでいただけたなら良かったです。
高校生の頃って、美祢のように大人に恋愛感情を向ける事ってよくあるけれど、大抵は周りも自分も見えていないがゆえ。それを自覚できた彼女は、ここで一つ大人の階段を上っています。ここ、かなり自分でも好きなので印象的と言っていただけて嬉しいです。
親戚というのは歳を経るにつれて、楽し気な集まりに見えていたものが、「結局他人同士の集まりなんだ」と感じるようになるものですね。そうして初めて付き合いの深まる人もいれば、完全に距離を置く人もいる。その感じをうまく描けていたなら良かったです。
ぱっと花の咲くような感じではなく、心の隅に残るようなお話を書きたかったので、余韻が残るというのはとても嬉しいです。こちらこそ、お読みいただきありがとうございました!
ああ〜……いいですねこれは。しみじみいい作品。
幼くて無知だけど、印象深く残る記憶と。成長して気づく、周囲の空気や人間関係。それらが静かに丁寧に綴られていて、物語に深みを感じました。
その時々に美祢が感じ、知る、明晴叔父の優しさや寂しさが伝わってきます。
いいお話でした!
作者からの返信
その言葉のない感じ、すごく嬉しいです(*´艸`*)
台詞を極端に少なくして、美祢の視点や思いを中心に彼女の成長を描いてみたのですが、最初は「これなんか文章が真っ黒やん」と自分で思いました。読みにくいかな、と思いつつそのまま行きましたが、丁寧に読んでいただけて嬉しいです。
無意識に明晴叔父に肩入れする立場になっている美祢ですが、状況だけ見て周囲が嫌うような悪い人ではなく、本当に優しい人なのです。そこが伝わっているなら良かったです。
お読みいただきありがとうございます!
子供の頃に出会った優しい親戚のお兄さんとの思い出から始まり、次に会ったときの恋心ともいえない程のほんのり淡い気持ち。そしてようやくお酒にも付き合えるようになり、寄り添うことができるようになるまでが、まるで自分の身に起こったことのように自然に感じられました。しっとりとした雰囲気がとても素敵な物語ですね。
本気で嫌いな相手だったとしても亡くなって心から喜べるものでもないと思うし、明晴叔父も曾祖母の葬儀ではなんともいえない気持ちを抱えていたんでしょうね。
祖父が亡くなったときはなかなか気が抜けなくて、そんな中でふっと気持ちが緩んだ瞬間に美祢さんが立ち会ったんでしょう。一緒に呑んだお酒も、もしかしたらお祖父さんとの思い出のお酒だったのかも?
明晴叔父の気持ちとかも「こういう感じだったのかなあ?」と、珍しくいろいろ想像してみたりして、とても楽しかったです。
しらすさんの現代ドラマも好きだなあ(*´ェ`*)ポッ
作者からの返信
そうです、正にそういう一連の流れを物語にしているのですが、うまく伝わっているようで良かったです!
自分が子供の頃にも似たような経験をしていて、親戚との付き合いがうまく出来ない、どころかちょっと距離を置きたいなぁなんて思う事もしばしばでした。でもそんな中でも、明晴叔父のような人もいて、その人との付き合いは成長するにつれてどんどん優しく穏やかなものに変わっていきました。今振り返れば、あれは素敵な出会いだったんだなぁと思います。
曾祖母が亡くなった時の明晴叔父は、正にそうだったんです。
自分が心からその死を悼むことが出来ない、むしろせいせいしている、そんな自分が嫌でもあったのかも知れません。
この家は完全に女系家族で、祖父(父)は表立っては争わないようにしながら、明晴叔父を支えていた人でした。こっそりお酒を教えたのも、お察しの通り祖父です。その祖父が亡くなった辛さも、病に苦しむ姿を見ているしかなかった事も、きっと想像以上に辛かったのだと思います。
そんな孤独に辛い思いを抱えている時、そうとは知らなくても側にいる美祢の存在が、明晴叔父にはどこか特別な存在になっていたんでしょうね。
真っ向から現代ドラマを書くのは初めてでしたが、好きと言っていただけて嬉しいです。いろいろと共感して想像していただき、ありがとうございます。
葬儀でしか合わない親戚っていますよね。場所が場所だけに心躍ることはないけど居ると「あ」と思うような。ちょっと寂しげな雰囲気を漂わせたおじさんと女の子の恋愛とはまた違う心の交流が優しくて素敵でした。
作者からの返信
ご感想ありがとうございます。
そうです、このお話は実話ではないのですが、幼い頃から高校時代にかけて、親戚との関係で実際にこんな体験をしたなぁ、という思い出が下敷きになっています。
けして恋愛ではないけれど、憧れと呼ぶにはとても近い、そんな関係って少しときめくような、とても深く静かに想い合う心がすこし羨ましいような気がします。素敵と言っていただけてとても嬉しいです。