第10話 「クラスメイトの殺害依頼」


2人と別れた直後にポケットから振動が伝わり、携帯を取り出すとメールが入ってた。


【初めまして、依頼を受けてほしくてメールしました】


自分の管理するサイトを通しての依頼メールだ。


【内容はどういったものでしょうか】

【今日、お会いして話すことはできますでしょうか?】

【可能です。場所と時間は決まってますか?】

【PM12:00に ◯◯街のガーデン喫茶へ】


聞き覚えのない場所で検索すると電車で1時間ほどかかる場所。

現時刻10:08

ギリギリのタイムスケジュールに賛同する前に場所と時間を聞いておけば良かったと軽く後悔。

もうすでに会うことは可能だと返事をしてしまったので、その時間で構わないと返事をして駅に向かった。



ギリギリ目的の電車に乗ることができた。


少し混み合ってる車内は人混みが嫌いな紅にとっては居心地のいいものではない。


目的地には1時間ちょっとで着いたが体感ではもっと乗っていたかのような感じだ。


時刻は11:32


指定の時間が迫っているので変装するために急いでデパートのトイレに入る。

個室の鍵を閉めて鞄から変装用の服を出す。

黒のジーンズにベルト、ロング袖のパーカー、最後に目深くキャップを被ってマスクを着ければ見た目は完全な男だ。


鞄はロッカーに預け、ウエストポーチを身につけて指定の場所へ。



時間ぴったりに着いたが依頼人らしき人が見当たらない。

まだ来ていないようで窓際の席に座り携帯を10分ほどいじっていると、


「あっ、あの…」


自分の席に1人の女の子が寄ってきた。


篝火かがりさ…ん?ですか…?」


どこかオドオドとした態度に、その名前が出てきたと言うことはきっと依頼人だろう。

向かい側の席に座らせて口を開く。


『では、依頼内容と名前を伺っても?』

「わ、私は高橋アンナといいます。◯◯中に通ってる椎名鈴しいなすずを…殺してほしい」

『理由を聞いても?』

「大事な友人を死に追いやったから」


自分達しかいない店内にBGMに誤魔化されて内容はきっと人が居ても聞き取れないだろう。

それにしても私と同じ学校にクラスメイトの椎名鈴…偶然にしてもすごいな。


『依頼をお受けいたします。次に依頼金の話です』

「だいたいの金額ってわかりますか?」

『依頼が完了しないとなんとも言えません』


話し合った結果

1.依頼は今日中に行うこと

2.殺すのは紅が担当、指示はアンナが出す

3.鈴を拉致した後はアンナの家に連れて行く

4.依頼金は依頼終了後、現金と物品で直接紅に受け渡し


『では、話はまとまったので解散です』

「じゃあ、私の家の住所…」

『いえ、その代わりに手をお借りしても?』


困惑しながらも差し出してきた右手に一瞬触れるとバクが一本の触手を伸ばしそれがアンナの手首に巻きついた。


『ご協力ありがとうございます』


それだけ言って紅は店を出る。

アンナは紅が店を出ていったあと、自分の右手首に浮き出た不思議なアザをしばらく見てた。



アンナと別れた後、時間を確認する。


14時30分


結構長く話し込んでたらしい、これからどう行動しようかと考えてたら


[鈴、まだ学校」

[教室に残ってる]

『それはちょうどよかった』


今から駅に行って電車で戻れば間に合うだろうか?


来たときのように電車に乗り帰ってきた。

学校へ足を向けながら鞄の中を確認。

強力な睡眠ガスにスタンガン、結束バンド等

拉致るための道具は十分にあるので実行するために裏門へ行くと


〔あら、あなた紅ね〕

『そうだよ、ランカ』

〔フフフッ、当たりよ〕


振り向けば着物を着た綺麗な女性の霊がクスクスと笑っている。


〔そんな格好をして来たってことはお仕事ね〕

『そんなとこ。そこで頼み事があるんだけど…』

〔そうねぇ、どうしようかしら〕


少し意地悪な笑みを浮かべるのを見て


『ダメかな?』


苦笑しながらそう言えばランカが折れた。


〔仕方ないわねぇ、私のお願いを聞いてくれるならいいわ〕

『わかった。お願いって?』


交渉成立をしたので話を聞く。












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