壁のシミ
野棘かな
第1話
瑠美って誰なんだ?
最近、ふと頭に浮かんでくる。
わからない。
知らない名前だ。
一体誰なんだ。
冷蔵庫をバタンと閉める。
ダダダと階段を駆け上がり部屋に入る。
着替えるのも面倒だ。
そのままベッドに潜り込む。
寝返りばかり打っていた。
あれこれつまらないことが浮かび
ぼんやりと寝付けないまま
0時を過ぎた頃
「.瑠美」
「瑠美」
って
ふっと呼んでしまったら
引きこもりの部屋の壁から
「ここよ」
とか細い声がする?
「ここにいるわよ」
女の声だ?
壁の茶色いシミの中から聞こえてくる。
おお、そうだった。
記憶がフラッシュバックする。
0時から1時の間に
名前を呼んではいけない。
どこにいても
黄泉の世界からも
返事する?
壁のシミ 野棘かな @noibara
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます