第27話 彼の変化


「今日一日行けば、また土日はお休みだから」

「私がね、仕事でミスしちゃったの。ほら、私ってボーっとしてるから」

「明日は土曜だし、久しぶりに新宿に行こう。神楽さんに話してみるわ。ね、だから大丈夫よ」


 小春はそう言い、ジョニイの作ったお粥を「おいしいわ」とほおばった。



「心配かけてごめんね、ジョニイ、大好きよ」


 そう告げて、ジョニイの愛する女はまた、彼の知らない世界へと行ってしまった。




 ジョニイは熱を持っていた。

 頭の、知能機械が異常に熱い。

 情報の処理速度も、少しずつ遅くなってきている。


 小春に聞きたいことがいっぱいあったのに、言いたいことがたくさんあったのに、うまく言語にすることができなかった。


 ジョニイは一人、到底処理することのできない感覚に苦しんでいた。




 小春になにがあったのか。

 小春は今、何を思っているのか。

 小春は今夜、無事に帰ってきてくれるのか。


 小春のすべてが知りたい。


 小春を助けるにはどうすればいいのか。

 自分にできることは何だろうか。

 いったい何をどうすれば、小春はまた幸せそうに笑うのか。


 小春に頼ってほしい。




 なぜ、僕に嘘をつくのです?

 アンドロイドだからですか?

 あなたを僕だけのものにするには、どうしたらいいのでしょう。




「小春ちゃんを、僕の中に取り込みたい。もしくは僕が……」

 

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