第3話 最後の思い出
「最後の思い出」
この部屋は私のお城
そして無造作に置かれた物たちは
私の忠実な兵士たち
だから
私が泣きたいときや
悲しいときは私のために
働いてもらわなくてはいけないのよ
そこの、お前
ほら、栞が挟んである頁をめくりなさい
そこにある続きを
今すぐ見たいから
何?
何が不満なの?
開きたくないの?
あなたは私の兵士でしょう?
私のために働きなさい
なぜ?開かないの
なぜ?首を振るの
なぜ?頑なに拒むの
いいわ
あなたがそのつもりなら
捨ててあげる
そんな昔の男の本なんて
ほら、捨ててあげるわ
開きなさいよ、そこの兵士
最後のあの人の思い出に、
その頁を開きたいの
ねぇ
開いてよ
あなたは兵士として
私が泣くのを止めているのでしょうけど
お願いよ
もう一度
彼との思い出に溢れた、
その頁を開かせて
お願いだから
私が別の人のところに
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